研究課題
光会合実験に向けて、今年度は、(1)461 nm光源の改良、(2)光会合用689 nm光源の開発とオフセットロックを行った。(1)461 nm光源は、PPLNで生成した461 nm光を、LDによるインジェクションロックで増幅し、40~50 mWの出力が得られた。この光源を用いて、Sr原子のMOT実験を行った。(2)光会合用689 nm光源を干渉フィルター型ECDLで作製し、ULE共振器で線幅を狭窄化した別のECDL光源とオフセットロックをすることで、ビート周波数の線幅を200 Hz以下へ狭窄化することができた。また、ECDLのマウントの材質は、スーパーインバーを用いることで、従来のアルミ製のECDLに比べ、周波数ドリフトを約1/9に抑制できた。以上の結果を学会発表した。また、国際共同研究として、インドのB. K. Sahoo氏、フランスのA. Kastberg氏と、原子を用いた基礎物理や光格子実験などについて議論し、論文発表した。分担者の阿部氏は、近年注目を浴びている多原子分子における電子EDMの測定感度を検討するために、HgOH分子等に対する電子EDMの有効電場について理論計算を行い、学術誌に発表した。また核のEDMについて、従来の電子状態項の表現が不十分であることを指摘し、よりよい近似式の提案を学会発表で行った。分担者の梶田氏は、希ガスと水素を結合させた分子イオンの回転遷移によるテラヘルツ領域の周波数標準、振動遷移による光・赤外領域の周波数標準に関して理論的検討を行い、論文発表した。その一方で、窒素分子イオンの核スピン選別法を検討した。分担者の酒見氏は、EDM測定手法、およびパリティの破れについて議論を行った。
2: おおむね順調に進展している
光会合用光源を作製できた。
461 nm用のインジェクションロック用LDを、さらにハイパワーのものへと交換し、パワーアップを試みる。増大した原子の信号を用いて、689 nm MOTなどを観測し、光会合実験を試みる。
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