研究課題/領域番号 |
20H01932
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮武 広直 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (20784937)
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研究分担者 |
西澤 淳 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (70402435)
横山 修一郎 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 助教 (80529024)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 観測的宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 重力レンズ / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本年度はすばる望遠鏡HSCサーベイにおける宇宙論解析のうち、銀河弱重力レンズ信号と銀河クラスタリング信号を組み合わせることによって宇宙構造の凸凹の程度(S8)を制限するための理論モデルをHSCサーベイ初年度のデータに適用する研究を行った。この理論モデルは、N体シミュレーションから宇宙論的統計量を機械学習し、高速計算するツール(Dark Emulator; Nishimichi et al., 2019, ApJ, 884, 29)と銀河形成の現象論的モデルを組み合わせることにより、非線形物理が入る小スケールにおいても信頼性が高いモデルである。本年度は観測的な系統誤差をモデルに組み込みHSCサーベイ1年目のデータのブラインド解析を進めた。更なる系統誤差のチェックを進め、来年度にはブラインドを取り去る予定である。 また、HSCサーベイ3年目までのデータにおける銀河形状カタログの作成を進めた。点拡がり関数の評価は完了し、画像シミュレーションを用いた系統誤差の理解を進めている。来年度のカタログ完成を目標としている。 ブレンドした銀河像の同定においては、まずすばる望遠鏡HSCとハッブル宇宙望遠鏡の両者が観測したCOSMOS領域の画像を用いてHSCでは解像できないブレンド銀河の割合を求めた。その後、ブレンドした銀河像を同定するアルゴリズムを作成するための教師データを作成するため、ハッブル宇宙望遠鏡の独立した銀河像を複数重ね合わせ、HSCの点拡がり関数を畳み込むことにより、HSCのブレンド画像をシミュレーションするツールの開発に着手した。 並行して、一般相対性理論の検証のため、修正重力理論のパラメータmu-Sigmaを入れたモデルをHSC初年度のデータで測定された宇宙論的弱重力レンズ効果に適用する研究に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
銀河弱重力レンズ信号と銀河クラスタリング信号の理論モデルのデータへの適用の準備が整い、HSC3年目の銀河形状カタログの作成も順調に進んでいる。さらに、ブレンド画像同定のアルゴリズム開発に向けたシミュレーションの作成や修正重力理論の制限に向けた研究も順調に始められたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はHSC初年度のデータを用いた銀河弱重力レンズ信号と銀河クラスタリング信号の解析を完了させる。また、HSC初年度のデータを用いた修正重力理論の検証の初期成果を出すことを目指す。HSC3年目のデータを用いた銀河形状カタログを完成させ、並行してブレンド画像のシミュレーションツールの開発を進める。
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