SPring-8 のレーザー電子光ビーム施設では、ハドロンを記述するもっとも基本的な自由度として何が可能かという問いに答えるため、大型ソレノイド電磁石を用いた、ペンタクォーク粒子(シータ粒子)の検証やハドロン分子共鳴状態候補であるラムダ(1405) の構造を解明を目的としたベクターK 中間子光生成実験の実施が計画されている。本研究では実験に必要な最高エネルギー3 GeV の高強度高偏極光ビームを生成するために、波長266 nm の深紫外パルスレーザーをSPring-8の蓄積電子ビームに同期して入射する。平均5 Wのレーザーパワーで従来のビーム強度の20 倍以上(毎秒 500億個の光子)のレーザー電子光ビームを生成し、多大な電力を消費するソレノイド電磁石の運転時間を抑えつつ、高統計実験を遂行することを目的とする。 LEPS2実験での研究が波長355nmのレーザーを用いた最高エネルギーが2.4GeVのレーザー電子光ビームを用いる実験が主体となったため、266nm パルスレーザーの開発は実験室内で行い、パルス同期レーザーによるレーザー電子光の生成と大強度ビームの生成効率及び安定性の確認は波長355nm のレーザーを用いて行った。実験室内の測定で255nm レーザーが高強度化のために必要な性能を満たしていることを確認すると同時に、SPring-8の8 種類のビームバンチ構造で、様々な同期パターンを用いた実測による最適化を行い、高強度光ビームが長時間安定に動作することをLEPS2実験により確認した。
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