8x8画素センサの読み出し回路系を構築した。半導体の流通事情を鑑み、4x4センサの読み出し回路を4系統並列させ、中継基板群を制作することにより実現した。4枚のFPGA評価ボードを制御することで64画素のデータ収集が可能になった。GNSSモジュールから供給されるクロックを分配する基板を制作し、同モジュールからUARTで受け取るシリアルデータは随時FPGAボードをリレーさせた。制御ソフトウェアも4ボード化に合わせて拡張し、全体を同時に操作できるよう整備した。また回路系の変更に伴い、観測実験用の治具も新たに制作しなおした。 これらのシステムをかなた望遠鏡に設置し、動作実証とともに観測実験を行った。まずはじめに、Vバンドフィルタを通して恒星光をセンサに入射し、撮像測光した。カタログの等級と、計測した光子フラックスとの線形性を評価した。次に、望遠鏡を動かすことによって恒星像がセンサ視野の中から動いて外れていく様子を撮像し、動画として再構成できることを実証した。続いて、1/30秒で開閉するシャッタを光路上に設置し、恒星の光が短時間だけ入射する状況にした。このときの検出光量の時間変化を測定し、シャッタ速度と矛盾しないライトカーブを得るとともに、露光時間と限界等級の関係を見積もった。最後に、かにパルサーを撮像観測した。電波望遠鏡と同時観測は実現できなかったが、翌日に電波望遠鏡で取得されたかにパルサーのタイミング情報と矛盾しない周期のパルス波形を取得する事ができた。
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