研究課題
国立天文台の計算機に1次モーメント法に基づく高次精度輻射磁気流体コード CANS+R を実装して、降着率がエディントン降着率の10%程度まで上昇した場合の巨大ブラックホール降着流の大局的3次元輻射磁気流体シミュレーションを実施した。その結果、(1)ブラックホール近傍の高温の硬X線放射領域の外側にトムソン散乱に対して光学的に厚く、コンプトン冷却された領域が形成されること、(2)この領域で方位角方向の磁場が強められ、円盤が磁気圧で支えられること、(3)赤道面上下で磁場方向が反転した磁束管が融合して磁気エネルギーを解放することにより、円盤が加熱され、円盤温度が0.1-1keV に保たれること、が示された。この計算により、活動銀河中心核(AGN)のうち、広輝線が観測される1型と観測されない2型の間を遷移する Changing Look AGN の増光時に観測される軟X線放射領域の形成機構を明らかにすることができた。ブラックホールの回転の影響を調べるため、一般相対論的計算も実施した。また、一般相対論的磁気流体コードを抵抗性磁気流体コードに拡張し、磁気散逸の役割を調べた。Changing-Look AGN である NGC 3516の暗い時間帯におけるX線-可視光同時モニタデータを解析し、細い Fe-Kα輝線の連続光に対する時間遅延が約10日と決定できた。これは、広輝線が観測されない時間帯にも、広輝線領域に物質が残り続けることを意味しChanging-Look AGN の状態遷移の理解につながる重要な結果となった。加えて、X線分光撮像衛星XRISMのX線CCDカメラ「Xtend」の開発を進めた。2023年にXRISM衛星の開発と打ち上げおよび初期運用を行い、初期成果の創出に向けて着実に観測が続けられている。その他、公開データを用いた観測的研究も進展した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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