研究課題
計画2年目となる2021年度には、すばるHSC可視光サーベイのデータに基づく活動銀河核研究を推進すると共に、eROSITAエックス線サーベイのデータ解析を進めるドイツのチームとの打合せを進めてHSC-eROSITA joint dataによる成果創出を目指した。それぞれ、具体的な内容を以下に示す。すばるHSCサーベイによる活動銀河核研究を国際協力により推進するため、日本国内の研究者とプリンストン大学および台湾の研究者が参加するテレビ会議を1~2ヶ月ごとに開催することで情報交換を行い、データ解析上の注意点や解析結果の解釈について綿密な意見交換を進めた。こうした共同研究の成果として、クェーサーの母銀河の形態、遠方クェーサーの探査、電波銀河における巨大ブラックホールの質量成長、遠方電波銀河の環境、といったトピックで論文を出版することができた。eROSITAサーベイを推進するドイツのチームとの共同研究も進めていくため、マックスプランク研究所の共同研究者を中心とするメンバーとHSC側メンバーとが参加するテレビ会議を1~2ヶ月ごとに開催し、eROSITAデータの解析状況やサイエンスアイデアの検討を進めた。その結果、エックス線と赤外線で非常に明るい活動銀河核の発見論文をeROSITA-HSC共同研究の初期成果として出版することができた。HSCサーベイにエックス線データを加えて成果創出を目指す取り組みとして、eROSITAサーベイチームとの連携と平行して、eROSITAサーベイに比べると探査面積が限られるもののエックス線の感度が高いXXLサーベイの研究チームとも連携を行い、eROSITA-HSC共同研究とは相補的な成果創出を狙った。その初期成果として、赤方偏移3.5を超すエックス線選択クェーサーのサンプルについて論文を出版することができた。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題はすばるHSC可視光サーベイとeROSITAエックス線サーベイを連携させて巨大ブラックホール進化について理解を深めることである。先行して観測が進むすばるHSC可視光サーベイのデータを活用した成果創出は順調に進み、eROSITAサーベイチームとの連携体制構築も問題なく進めることができている。更に、eROSITA-HSC共同研究の初期成果の論文出版にも至っている。以上の理由により、本研究課題の進捗状況については、おおむね順調に進展していると評価できる。
2014年3月に開始したHSC可視光サーベイが2022年1月に完了し、約1100平方度の多色撮像観測が終了したことを受け、得られたデータからの成果創出を最大化させる必要がある。また、eROSITAエックス線サーベイとHSC可視光サーベイとを連携させた研究についても、まずはeROSITA初期データが得られているeFEDS領域に集中して、成果創出を進める。以上を強力に推進するため、幅広い国・地域で活動する共同研究者との連携体制を強化し、綿密なコミュニケーションによって個別のサイエンス課題のそれぞれを円滑に進めていけるようにする。この目的を達成する手段のひとつとして、一部対面形式(ハイブリッド形式)での国際研究会を開催する。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 12件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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