研究課題/領域番号 |
20H01950
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
長島 雅裕 文教大学, 教育学部, 教授 (20342628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 理論天文学 / 銀河形成 / 活動銀河核 / 宇宙の大構造 |
研究実績の概要 |
宇宙進化に基づく銀河の形成・進化の過程を明らかにするために、申請者らは、N体シミュレーションをベースにした準解析的銀河形成モデル、「ν2GC」(New Numerical Galaxy Catalog)を構築してきた。モデルの質は、ベースにするN体シミュレーションの質と、組込む物理プロセスの質に左右される。N体シミュレーションについては、研究協力者の石山による巨大計算が実行され(「Uchuu シミュレーション」)、ダークマターハローの合体形成史が構築された。これまで開発してきたν2GCとこのデータを統合し、新たに「Uchuu-ν2GC」を開発した。このデータは国際的に公開され、我々と競合する銀河形成研究グループも使用する計画になっているが、現状では我々の結果のみが公開されている状況である。 本研究では、Uchuu-ν2GC の現状を研究協力者を含む研究者とミーティングを行い、モデルに含まれるパラメータの調整を行うとともに、研究の内容について打ち合わせを広く行ってきた。そして、Uchuuシミュレーションの広い計算領域を活かし、現在計画中/進行中のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST) や Euclid衛星によるサーベイ、ヴェラ・ルービン天文台によるLSST計画などの活動銀河核に対する深宇宙サーベイ観測による結果が、その観測エリアの広さによりどの程度の誤差を含むものなのかを評価した。 さらに、Uchuu-ν2GCを用いた活動銀河核の形成・進化の研究のこれまでの総括と今後の展望についての打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Uchuuシミュレーションは順調に実行されたが、新型コロナの影響もあり、頻繁に打ち合わせが行えない状況で、Uchuu-ν2GCの完成が遅れたが、2年目の予算を繰り越すことで対応し、無事完成までこぎつけることができた。 モデルの活用があまり進んでいない状況であるが、現在注目されている主要なサーベイ計画に対する予測の計算ができ、公表している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
モデルの計算結果を論文にまとめ、発表するとともに、単にサーベイの結果を予想するだけではなく、活動銀河核の物理にどのような制限を加え、理解ができるのかの解析をすすめる予定である。その際、広い計算領域を活かした活動銀河核の二体相関関数の解析を、これまであまり調べられていなかった深宇宙(赤方偏移z>5)まで拡張して調べる。これまでのモデル計算では、計算領域や分解能の限界であまり信頼できる結果ではなかったが、我々のモデルではそれが可能になっているため、深宇宙における統計的な活動銀河核の研究を進める。
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