宇宙進化に基づく銀河の形成・進化の過程を明らかにするために、申請者らは、N体シミュレーションをベースにした準解析的銀河形成モデル、「ν2GC」(New Numerical Galaxy Catalog)を構築してきた。モデルの質は、ベースにするN体シミュレーションの質と、組込む物理プロセスの質に左右される。N体シミュレーションについては、研究協力者の石山による巨大計算が実行され(「Uchuu シミュレーション」)、ダークマターハローの合体形成史が構築された。これまで開発してきたν2GCとこのデータを統合し、新たに「Uchuu-ν2GC」を開発した。このデータは国際的に公開され、我々と競合する銀河形成研究グループも使用する計画になっているが、現状では我々の結果のみが公開されている状況である。 本研究では、Uchuu-ν2GC に含まれるパラメータの微調整を終え、観測と比較可能な段階までにモデルを仕上げた。まずは、その広い計算領域を活かし、現在計画中/進行中のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST) や Euclid衛星によるサーベイ、ヴェラ・ルービン天文台によるLSST計画などの活動銀河核に対する深宇宙サーベイ観測による結果が、その観測エリアの広さによりどの程度の誤差を含むものなのかを評価した。この手法により、今後の様々なサーベイ計画におけるサーベイ領域の適切なデザインを描くための基礎データとして我々のモデルデータを活用することが期待される。
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