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2020 年度 実績報告書

スパースモデリングによるALMA望遠鏡イメージングの新展開

研究課題

研究課題/領域番号 20H01951
研究機関統計数理研究所

研究代表者

池田 思朗  統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30336101)

研究分担者 田村 陽一  名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (10608764)
本間 希樹  国立天文台, 水沢VLBI観測所, 教授 (20332166)
小杉 城治  国立天文台, アルマプロジェクト, 准教授 (90290882)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードALMA望遠鏡 / 電波干渉計 / イメージング / スパースモデリング
研究実績の概要

2019年4月,EHTがM87楕円銀河の中心にある超巨大ブラックホールシャドウの画像を撮像した.EHTは地球規模の巨大な電波干渉計であり,この撮像のために,我々はスパースモデリングを用いた新たなイメージング法を開発し,ソフトウェアを作った.スパースモデリングによる方法は新たな電波干渉計イメージング法として期待されている.本研究ではスパースモデリングに基づくイメージング法を,チリにある高性能電波干渉計であるALMA望遠鏡でも使うため,専用のソフトウェア環境を構築することを目的とする.
EHTのソフトウェアは基線が少なく,雑音の大きい場合に特化している.ALMAは基線が多いため,EHTに比べて計算量が多い,一方,EHTに比べて雑音が少ないため,シンプルなアルゴリズムでも十分に良い画像が得られる.このため,ALMAのイメージングのために新たなソフトウェアを構築する.初年度は,イメージングの最も大事な撮像アルゴリズムの部分を作成し,この高速化を行った.池田が作成したソフトウェアを外部の会社に依頼して高速化を可能性を検討した.C++によってコードを実装し直し,複数コアによる並列化を実装することによって昨年のプロトタイプに比べて10倍以上の高速化ができた.
新たな方法を広く普及させるには,既存方法と同等以上の結果が得られることが求められる.電波干渉計のイメージング法では,これまで長年用いられてきたのはCLEAN法である.CLEAN法と比較して,本手法の結果が良いのか,天文学の議論に耐える質の高い画像を提供できているのか,という点を天文学者との共同研究を通じて検証する必要がある.実際の観測データに対して本手法を用いて解析した結果が論文として発表され,天文学会でも発表を行なった.また,他にも共同研究を通じた論文の執筆を行なっている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,イメージングの最も大事な撮像アルゴリズムの部分を作成とこの高速化が大きな目標であった.この目標は十分に達成できた.本手法の検証についても天文学者との共同研究を通じて進んでいる.また,self-calibration についてもアルゴリズムは検討できており,プロトタイプのソフトウェアは作成済みである.以上より,おおむねね順調に進展していると考える

今後の研究の推進方策

新たな方法を普及させるには既存方法と同等以上の結果が得られることが求められる.電波干渉計のイメージング法では,これまで長年用いられてきたCLEAN法と同等以上となる必要がある.昨年度は提案するスパースモデリングのソフトウェアを高速化した.また,天文学者との共闘研究を通じて結果の検証も行なっている.
CLEAN 法では位相雑音に対してself-calibrationと呼ばれる方法を用いるのが一般的である.提案手法では,現在,既存のself-calibration を用いているが,提案手法に合った新たなself-calibration の方法を考えることは重要である.昨年度,Self-calibration のあらたな方法を開発し,プロトタイプのソフトウェアを作ったので,2年目の本年度はこれを実際に使える形にし,その高速化を行う.さらにALMA データを用いた手法の検証を行い,問題点を洗い出す.
また,来年度に向けて,偏波のイメージング法への拡張を行う.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] サブミリ波超解像イメージングで空間分解した活動銀河 NGC1068 の中心核 構造2021

    • 著者名/発表者名
      戸上陽平, 田村陽一, 谷口暁星, 竹内努, Suchetha Cooray, 河野海, 中里剛, 池田思朗
    • 学会等名
      天文学会 2021年 春季年会
  • [学会発表] データ科学と天文学2021

    • 著者名/発表者名
      池田思朗
    • 学会等名
      「自然科学における階層と全体」シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] スパースモデリングと画像処理、天文観測を題材として2021

    • 著者名/発表者名
      池田思朗
    • 学会等名
      顕微鏡計測インフォマティックス研究部会 第2回研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] EHT によるブラックホールシャドウの撮像とデータ科学2021

    • 著者名/発表者名
      池田思朗
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] PRIISM: Synthesis imaging tool based on the sparse modeling for radio astronomy2020

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Nakazato, Shiro Ikeda, George Kosugi, Mareki Honma
    • 学会等名
      SPIE. Astronomical Telescopes + Instrumentation Digital Forum
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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