研究課題
理化学研究所で新規に開発した氷床コアレーザー溶融サンプラー(Laser Melting Sampler; LMS)によって、南極大陸のドームふじ基地で掘削された氷床コアについて、巨大太陽プロトン現象を識別し得るだけの超高時間分解能分析が達成できる見通しとなった。このRIKEN-LMS装置を用い、氷床コア中の硝酸イオン濃度変動及び水同位体比変動を指標として、巨大太陽プロトン現象の痕跡を検証することが本研究の目的である。2021年度に、高感度イオンクロマトグラフィー装置の導入から1年を経てメンテナンスの必要性が生じたが、部品が米国からの輸入品のため、コロナ禍の影響で供給減少による納期遅延が発生し、年度内の調達が不可能な状況となってしまった。そのため予算を2022年度に繰越し、当該装置の電子部品関係のスペアパーツの到着を待ち、到着後、装置の調整を行った。2022年度は、導入した超純水製造装置を用い、「超純水氷」の製作工程をより工夫したことによって、実験室空気からの汚染の心配がない「超純水氷」が作れるようになり、その後の実験が質的に向上した。さらに、実験室のクリーン環境の整備に配慮し、大気汚染対策のための大改良が施されたLMS装置を用いて超高時間分解能のイオン分析を行い、試料間のクロスコンタミネーションや、実験室空気からの汚染等が必要な精度で起きていないことを確かめた。LMS装置の適用を考えている巨大太陽プロトン現象については、西暦1859年のキャリントンイベント、西暦774年のイベントに加え、994年イベントについて検討を進めた。水同位体比分析については、LMSを適用した結果と手分割試料の結果とが不定性の範囲内で一致していることを示し、国際学術誌に論文を投稿、2023年9月に出版され、Altmetric attention score 150(全分野でトップ5%)を達成した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Glaciology
巻: - ページ: 1~7
10.1017/jog.2023.52
Earth System Science Data
巻: 15 ページ: 2517~2532
10.5194/essd-15-2517-2023
https://ribf.riken.jp/ag/
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https://www.riken.jp/en/news_pubs/research_news/pr/2023/20230919_2/index.html
https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/publications/riken_research/2023/rr202312.pdf