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2020 年度 実績報告書

太陽系外における地球型惑星大気の検出に向けた紫外線観測技術の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 20H01964
研究機関国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

村上 豪  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50734026)

研究分担者 松田 昇也  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (20772213)
桑原 正輝  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60827575)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードCMOS / 紫外線 / 検出器 / 光子計数 / マイクロチャンネルプレート / 系外惑星 / 高層大気
研究実績の概要

果たして生命を有する地球という惑星は唯一の存在なのか?これは人類にとって共通の問いであり、生命を保有する惑星を発見することは科学がもつ究極の目標の一つである。生命保有惑星発見へのアプローチとして、口径1m級の紫外線宇宙望遠鏡による恒星紫外線輻射量と太陽系外惑星大気観測の実現を目指す。強紫外線環境下の地球型惑星において高層に大きく散逸する酸素原子大気を検出し、表層環境、特に海洋の有無を明らかにする。この目標に向けて、既存の紫外線観測技術を応用する上で大きな技術的課題の一つに検出器のダイナミックレンジがある。そこで本研究では宇宙望遠鏡に搭載可能な新方式の高ダイナミックレンジ紫外線検出器を開発し、系外惑星観測に展開しうる日本独自の紫外線観測技術を実証する。そのために本検出器用に最適化したMCPおよびCMOSセンサ、演算処理回路を選定・開発し、組み合わせて新型検出器を完成させる。光学試験によりダイナミックレンジおよび位置分解能を測定し、また宇宙環境試験により衛星搭載性を確認する。
2020年度には高速処理が可能なFPGAを用いて、光子計数および位置検出の逐次画像処理を行う高速プログラムの開発を進めた。また高速読み出し可能な民生用のCMOSセンサと紫外線に感度をもつイメージインテンシファイアを組み合わせ、新型検出器の試作機を開発した。これらの研究成果により新型検出器の原理実証を行う準備が整った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度は以下の2つの研究項目を実施した。
・即時画像処理による光子計数が可能な高速プログラムの開発:新型検出器で光子計数を行うには、同じピクセル上に複数の光子カウントが重ならないようにCMOSセンサの高速撮像を繰り返す必要がある。全画像をそのまま保存すると毎秒100MB程度と膨大なデータ量になるため、宇宙望遠鏡に搭載するためには機上での即時処理が必須となる。本研究では高速処理が可能なFPGAを用いて、光子計数および位置検出の逐次画像処理を行う高速プログラムの開発を進めた。サンプル画像を用いて光子計数および位置検出が可能であること、また処理にかかる時間を算出した。
・高速撮像CMOSセンサとイメージインテンシファイアによる原理実証:高速読み出しが可能(フレームレート100 fps以上)で高解像度(2000x2000ピクセル以上)のCMOSセンサを選定する。今年度はまず過去の研究で調達済みの民生品レベルのCMOSセンサを使用した。今年度新たに調達した遠紫外線に感度をもつイメージインテンシファイアを試験的に組み合わせ、新型検出器の原理実証モデルを完成させた。

今後の研究の推進方策

今後は以下の研究項目を実施する。
・原理実証モデルのダイナミックレンジ評価(2021年度):2020年度に完成した新型検出器の原理実証モデルおよび高速処理プログラムを組み合わせて、光子計数能力およびダイナミックレンジを評価する。
・宇宙機搭載可能なCMOSセンサを用いた新型検出器の試作(2021年度):2020年度に評価したCMOSセンサと同等の性能をもつ宇宙機搭載が可能なセンサを選定する。CMOSセンサへのFOPの接着およびイメージインテンシファイアとの機械的な結合を行う。これにより宇宙機搭載可能な新型検出器のセンサ部が完成する。
・FPGA高速処理回路基板の開発(2021年度):2020年度に開発した高速処理プログラムを搭載するFPGA回路基板を開発する。即時処理に必要な能力のFPGAを選定し、宇宙望遠鏡への搭載を念頭に置いた回路を設計する。
・光学性能および衛星搭載性の評価(2022年度):2021年度に完成させた新型検出器センサ部およびFPGA回路基板を組み合わせて性能を評価する。具体的には即時画像処理により達成可能な最大光子計数能力およびダイナミックレンジを測定する。また本試作機を用いて宇宙機への搭載性を評価する。振動試験、衝撃試験、熱真空試験、放射線照射試験をそれぞれ実施し、その前後における健全性と性能の変化を調べる。この研究により地上実験室における新型検出器の実証が達成でき、宇宙望遠鏡への搭載が可能となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 紫外線宇宙望遠鏡LAPYUTAによる氷衛星プリューム観測計画2021

    • 著者名/発表者名
      村上豪、ほか
    • 学会等名
      惑星圏シンポジウム2021
    • 招待講演
  • [学会発表] Life-environmentology, Astronomy, and Planetary Ultraviolet Telescope Assembly (LAPYUTA)2020

    • 著者名/発表者名
      村上豪、ほか
    • 学会等名
      光赤天連シンポジウム2020
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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