研究課題/領域番号 |
20H01968
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 潔 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20345060)
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研究分担者 |
轡田 邦夫 東海大学, 海洋学部, 非常勤講師 (40205092)
美山 透 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 主任研究員 (80358770)
豊田 隆寛 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (90450775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海洋物理学 / 西岸境界流 / 沿岸海洋循環 |
研究実績の概要 |
北太平洋域における西岸境界流(黒潮・親潮)と内側沿岸循環の力学的相互作用の実態を明らかにするために、観測研究と数値研究を並行して実施した。 観測研究では、特に駿河湾周辺において東京大学・海洋研究開発機構・東海大学チームが中心となって、水温塩分計及び流速計の係留観測を重点的に実施した。そして、係留観測の遂行にあたってはステイクホルダーである地元の漁業協同組合及び水産業者と連携したり、地元新聞社による報道を通して研究活動を広く社会に発信したりすることで、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(2021-2030)の趣旨に合致する活動を実現した。また、駿河湾内を横断するフェリーに搭載した流速計(ADCP)による流速計測も、東海大学チームが中心となって通年に渡り実施することが出来た。さらに、三陸沿岸においては係留観測に加えて、東京大学チームが中心となって東京大学大気海洋研究所が運行する調査船を用いて、水温・塩分・深度(CTD)及び流速観測(ADCP)の船舶調査も実施した。 一方、数値研究では、気象研究所・海洋研究開発機構チームが中心となり、それぞれMRI.COMモデルとJCOPEモデルの整備・開発を進めた。その結果、衛星観測から捉えられる現実海洋におけるメソスケール・サブメソスケール現象を、高解像度で再現することが可能となってきた。特に黒潮から派生したストリーマーが駿河湾湾口に接近し、湾内に侵入する過程を、精度良くシミュレーションすることに成功した。また、シミュレーション結果を、インターネットを介して広く社会に配信する方法についても検討開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場観測については、新型コロナウイルスの流行による影響(コロナ禍)のために、実施年度前半には若干の遅れが生じた。そのため、当初の計画を一部見直して、課題の一部を令和3年度に繰り越しすることとしたが、ステイクホルダーである地元の漁業協同組合及び水産業者との強い連携関係を構築することに成功したため、影響は挽回できた。一方、数値研究については計画通り、順調にモデルの開発及び、観測データとの比較を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
観測研究と数値実験研究とも、今年度同様に研究を大きく進展させる。特に現場観測については、今後も新型コロナウイルスの流行による影響(コロナ禍)続くことが予想されるので、今年度に引き続きステイクホルダーである地元の漁業協同組合及び水産業者との強い連携関係の構築を図り、活発な観測活動を維持する。
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