研究課題
本研究は、中層大気微量成分の変動メカニズムの理解のため、ミリ波帯にある大気分子スペクトルを広域・高時間分解能で観測可能な新しいラジオメータの開発を行うことを目標としている。最終年度となる2022年度は、昨年度から引き続き①多方向観測、②高時間分解能という二つの課題解決のための基礎開発研究に取り組むとともに、③試作ラジオメータでの試験観測を目指した。①では、広視野化に必須の技術である受信機回路の平面集積化に関する研究を進めた。この技術で実績のある国立天文台との共同研究により、超伝導平面回路の特性を極低温下で評価できるテストブロックを開発し、実際にコプレナー線路がネットワークアナライザで評価可能であることを示した。②では、導波管の伝搬損失および局部発振器の雑音成分の低減による受信機感度向上と、ソフトウェア面で観測手法の改善による観測感度向上に取り組んだ。導波管の伝搬損失の低減では、ニオブ導波管を試作してその特性を評価することで、世界で初めて超伝導導波管の有用性を示した。局部発振器の雑音成分は狭帯域のフィルタで低減できることを昨年度までに示したが、さらにこのフィルタを周波数可変とすることに成功した。この汎用的な新たなフィルタは、様々な分野への応用も期待される(特許出願中)。大気観測手法の改善は、FMLOをオゾン分子のような線幅の広い輝線に適用可能かをモデルスペクトルにより調べ、適切な周波数変調パラメータを選ぶことで観測が出来る感触を得た。③では、これらを基に新たなラジオメータを試作して大学構内に設置し、大気オゾンの観測を試みた。残念ながら、実験の途中で冷凍機の圧縮機よりヘリウムガスがリークしてしまうトラブルがあり、世界的に入手が困難となっている高純度のヘリウムガスが購入できなかったために観測実施には到達できなかった。これは、本研究課題終了後も今後の課題として継続していきたい。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physics
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 33 ページ: 1~5
10.1109/TASC.2023.3267331
巻: 33 ページ: 1~4
10.1109/TASC.2023.3254482