研究分担者 |
岸 和央 立正大学, 環境科学研究所, 客員研究員 (40802468)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 教授 (60191368)
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80275156)
細井 祥子 (田辺祥子) 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80423226)
後藤 忠徳 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (90303685)
笠谷 貴史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (90373456)
後藤 慎平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90772939)
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研究実績の概要 |
・琵琶湖北西部の活発な湧水活動が観察されているY1地点付近(35°20'N,135°06'E付近)において、2021年に引き続き、2022年にも高熱流量が測定された。湖底堆積物の表層2mの温度分布を長期計測する装置を、Y1地点に2022年10月~2023年3月に設置し、良質な温度記録を得た。 ・滋賀県立大学の実習調査船「はっさかⅡ」のマルチビームソナー(高性能魚探)による調査で、深部湖底湧水に伴うガスによる音響異常位置(≒湧水孔の位置)が、幅2km程度で長さ4km以上の南北の帯状の分布であることが分かった。 ・湖西地域において、温泉水、安曇川等河川水、扇状地の湧水(地下水)や琵琶湖水を中心にサンプリングした。水素・酸素同位体比について、全体として、琵琶湖水ではδ18O=-6.5‰程度、δD=-40‰程度で、安曇川河川水はδ18O=-8.5‰程度、δD=-48‰程度で、最も軽い結果を示したものは温泉水であった。 Y1と湖底湧水のない地点(T1:35°22'N,135°06'E付近)とにおいて、鉛直方向に連続的な水温・電気伝導度測定(CTD測定)と5m・50m・湖底付近(約90m)の3深度サンプリングを2か月に1回程度の頻度で行った。Y1とT1とで、水質・水温・水素・酸素同位体比に概ね差は認められなかったが、湖底において変化がみられる時期があった。また、深さ35m以深において、メタン生成菌の存在を確認した。 ・深部湖底湧水に伴うガスを湖水表面でサンプリングし、メタンが30~60%と高濃度であることを確認した。また、メタンの炭素・水素同位体比分析の結果から、採集したガス中のメタンの起源は湖底堆積物由来のものであると推定できる。 ・2021年7月に採取した生物群の分析から深底のみに生息する細菌群集が一部みられたが、深部湖底湧水に特徴的かどうかの判断は困難な種であった。
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