研究課題/領域番号 |
20H01977
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
秋吉 英治 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (80211697)
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研究分担者 |
谷本 浩志 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (30342736)
塩竈 秀夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (30391113)
池田 恒平 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (60726868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オゾン / 温暖化 / 化学気候モデル / 温室効果ガス / オゾン層破壊物質 / MROC6 / 高解像度モデル |
研究実績の概要 |
前年度はMIROC6化学気候モデル(水平解像度T42、成層圏のフルケミストリー搭載)のオゾン全量の分布、季節変動、年々変動、温室効果ガス増加に対する大気とオゾン分布の応答等の妥当性を調べたが、今年度はより高解像度のMIROC6化学気候モデルの開発を開始した。 具体的には、MIROC6大気大循環モデルの水平解像度T85バージョンに、O3, O(3P), O(1D)のみで構成される修正チャップマン反応(Hartmann 1978)を、モデルの放射過程および輸送過程と相互作用する形で導入し、10年分程度の計算を行い、オゾン全量の全球分布、オゾンの子午面分布、およびそれらの季節変動、年変動を調べた。観測値と比較したところ、その絶対値に多少の差は見られるが概ね季節変動は再現されていた。また、気温や帯状平均東西風の季節変動も概ね観測と合っていた。水平解像度T42・フルケミストリーを搭載したMIROC6化学気候モデルによって計算されたオゾン分布、水蒸気分布、気象場との比較はR4年度に行う。 さらに、トレーサ的に振る舞う物質としてN2Oの導入も進めた。T85-MIROC6化学気候モデルでは、計算時間が多大になるのを避ける目的でHOxやClOx関連の化学は導入しないため、N2Oは地表での境界値によって大気中に供給され、成層圏で光解離およびO(1D)との反応によって消滅するように設定した。すなわち、OHやClによる消滅反応は省略されている。 今後は成層圏でオゾン層破壊を引き起こすフロンの導入も同様に進めて(光解離とO(1D)との反応によってのみ成層圏で破壊)、これらの物質の対流圏から成層圏への流入状態、および成層圏における水蒸気の分布を調べる。 T85-MIROC6化学気候モデルにおいて取り扱うこれらの大気微量成分(水蒸気、O3, O(3P), O(1D), N2O, CFC)は、今後、NICAMモデルへも同様に導入し、T85-MIROC6モデルによる結果との比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、研究分担者や研究協力者間の頻繁な情報交換や一堂に会する議論が困難となり、全体の進行状況の把握、数値実験の設定に関する細部の詰め、数値実験結果の検討に関する意見交換、それらに基づいた今後の研究計画設定等が遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染はなかなか終息しないが、その中においてもリモート会議などを積極的に行って研究分担者・研究協力者との連絡を頻繁に取るように努力しながら、残りの期間で遅れた分を取り戻せるように最善を尽くす。
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