研究課題
本課題に関連した国際共同研究、Charlesworth et al. (2023)において、現在の化学気候モデルのほとんどが、下部成層圏において水蒸気量過多となっており、その気候への影響の大きさは気候変動の大きさに匹敵する場合があり無視できないことが明らかとなった。この研究結果に基づき、MIROCベースの化学気候モデルを高解像度化した場合に水蒸気分布がどのように変化するかを明らかにするため、前年度までに新たに開発を行った高解像度のMIROC6化学気候モデル(T85L81)と、従来使用していた低解像度のMIROC3.2化学気候モデル(T42L34)について、水蒸気分布の比較を行った。その結果、低解像度のMIROC3.2化学気候モデルの上部対流圏~下部成層圏(UTLS領域)において、高解像度のMIROC6モデルよりも水蒸気が過多となっていることがわかった。特に、亜熱帯ジェット周辺で違いが大きい。一方、上・中部成層圏の違いは小さかった。この結果は、Charlesworth et al. (2023)の結果と整合的であり、UTLS領域の水蒸気分布の再現には高解像度モデルが必要であることがわかった。MIROC6化学気候モデルに含まれる化学過程のうち、CFC11やCFC12等のオゾン層破壊物質(ODS)やパラメータ調整を行って簡略化したオゾン光化学過程(修正チャップマン反応)を導入したNICAM化学気候モデルの開発を行った。このモデルの対象領域は地表から上部成層圏(~高度50km)で、水平解像度は140km程度、鉛直解像度は1km~0.5kmであり、MIROC6化学気候モデルと同程度の空間解像度をもつ。この化学気候モデルを走らせて得られた水蒸気量分布(特に成層圏内の水蒸気量)をMIROC6化学気候モデルと比較したところ、両モデルの空間解像度は同程度でもUTLS領域で水蒸気分布に違いが見られた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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