| 研究課題/領域番号 |
20H01984
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
松浦 純生 京都大学, 防災研究所, 名誉教授 (10353856)
|
|---|
| 研究分担者 |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
平石 哲也 京都大学, 防災研究所, 教授 (20371750)
岡本 隆 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353626)
大澤 光 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70839703)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 海岸地すべり / 海水面状態 / 残留間隙水圧 / 波浪侵食 / 高時間分解能観測 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では、海岸斜面変動の中でも生産土砂が極めて大きい海岸地すべりに着目し、地すべりの変位量や間隙水圧の観測はもちろんのこと、海象現象についても高時間分解能の観測を行う。得られたデータを総合的に解析することにより、波浪や潮位の変化などに伴う斜面の不安定化プロセスを明らかにするとともに、海水面状態の変化が汀線に接続した斜面で発生する地すべりに及ぼす影響について実証的に評価することを目的とする。
本研究のため、北海道東部の太平洋側に面した海岸地すべりを試験地として選定した。試験地周辺は脆弱な地質からなり、波浪による汀線接続斜面の侵食が著しく大きい。現地踏査およびドローンによる測量の結果、当該地すべりは斜面長80～90m、幅20～35mで7つのブロックに区分することができた。当該する地すべりに加え、隣接する斜面長約40、幅約30mの小規模な地すべりも研究対象とした。いずれの地すべりも過去に何回も移動を繰り返した痕跡があることから、地すべりは臨界状態に近い状態にあると推察され、研究を実施する上で極めて適した条件を備えている。本年度は各種の観測機器類の設置を計画していたものの、コロナ禍のため行動が制限されたことや、必要機材の調達が遅れたことなどにより、地表伸縮計１基および汀線監視カメラ１基のみの設置にとどまった。地表伸縮計は斜面の下部ブロックに設置し、10分間間隔で観測したが、設置後に顕著な変位は捉えられていない。このため、過去に移動した汀線接続斜面の地すべりについて、傾斜計や地表伸縮計のデータを元に解析を行ったところ、海岸侵食が地すべり変位の誘因として重要な役割を果たすことを明らかにした。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、海水面状態の変化が汀線に接続した斜面で発生する地すべりに及ぼす影響について、高分解能および高時間分解能の現場観測を実施し、得られたデータをもとに実証的に評価することを目的としている。ところが、コロナ禍のため出張制限が続いたことに加え、海外製品なども含めた観測機材の納品などが大幅に遅れた。一方、現場は12月から地盤が凍結し、観測機材の設置が不可能となったことから、当該年度の調査計画が大幅に遅れる結果となった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本格的な観測態勢を構築するため、繰越延長届けを申請した。したがって、令和３年度の早い時期に、地すべり変位量を観測するための地表伸縮計や数m以上の変位も観測可能な長距離伸縮計、地すべり移動体の変形過程を明らかにするための水平土圧計や傾斜計などの観測機器類を設置する。また、地すべりの原因となる地下水については、土壌水分計や間隙水圧計などを埋設したい。一方、地震時の変位量および地すべり変位時の震動を捉えるため、速度計および強震計を設置するとともに、海象現象についても高時間分解能の観測を開始する。
|
