研究課題/領域番号 |
20H01986
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
嶋野 岳人 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (70396894)
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研究分担者 |
野口 里奈 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30792965)
上木 賢太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (40646353)
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 教授 (60144391)
桑谷 立 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 主任研究員 (60646785)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
三輪 学央 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 火山防災研究部門, 主任研究員 (80615659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 火山灰 / システマティックス / 噴火推移 |
研究実績の概要 |
本研究では,火山噴火推移に伴う火山灰色の変化をもとに,より詳細な多項目データから「火山灰のシステマティックス」を構築し,マグマ供給系・火道周辺環境の進化過程と噴火推移の関係解明をめざしている.具体的には,①大量の測色データが得られる火山灰試料に対し,マグマの結晶化や酸化,変質などの素過程に対応する変数を整理し,システマティックスを構築する(この際,従来は時間を要した岩石組織解析などの迅速化,新規項目導入による多変量化推進).一方,②この手法を連続採取試料に適用し,多変量時系列解析からマグマ供給系や火道環境の進化過程の理解を進める(この際,統計数理手法に基づく情報抽出・モデルを構築). 初年度から6つの中目標・計画を策定し(①-1~3,②-1~3),研究を開始した.本年度は,①-2:大量連続試料データから,より高度な解析を要する「選抜試料」を抽出するスキーム構築について,これまでに開発した迅速画像解析プログラムを用いて,火山灰粒子の結晶度や形態による分類・選別を行った.①-3:異なる火山での共通指標導出については,諏訪之瀬島火山1813年噴火および2020年以降の活動に上記反射電子画像の解析プログラムを同一基準で導入・評価を行ったほか,新たに顕微可視分光法を用いて,諏訪之瀬島および新燃岳2018年火山灰粒子試料について定量記載することで,客観的粒子種分類を行った. 残り3つの中期計画は,来年度以降の着手予定であったが,全体の進捗状況をみて一部を前倒しで進めた.すなわち,②-1:連続試料から得られた上記の連続時系列データと地球物理学的データとの相関解析に向けて,近年得られたデータの整理を行った.②-2:マグマ供給系や火道周辺環境を考慮した火道モデルの構築については,今後,より定量的な検証を行うべき初期モデルとして,石基ガラス組成の時間推移に基づく物質科学的モデルの提案を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①-1:迅速な測色データ導出のためのその場観測装置の開発については,初年度の野外での測定結果を踏まえ,本年度は自動その場測定のテストを行い,連続観測を開始して手法を確立する予定であったが,火山活動の低下,新型コロナ感染症の感染拡大継続による現地観測中止により進めることができなかった.一方で,成果概要での記述の通り,データ整理やモデル構築において計画を前倒しして進めたため.
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今後の研究の推進方策 |
全体としてはおおむね順調に推移しているので,着手可能なデータ解析や分析については,適宜前倒しして進める.一方,本研究で当初予定していた対象火山の観測調査が活動度低下および感染症拡大継続などにより,進められなかった部分があるので,別火山でも活動状況を見て観測を行うなどの対応を取る.それでも観測および分析が進まない場合は,当初の予定に替えて,これまでに蓄積した採取試料・分析データの解析や比較を進めることで,全体として当初の目的が達成できるよう研究の推進に努める. 一方,オンラインでの議論以外は,日常からの代表・分担者間の情報・意見交換が行えなかったため,今後は協力者も含めて,より活発になるよう対面での議論の機会を増やす.
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