研究課題
本研究は,容易に入手可能かつ低価格なコンポーネントにより小型の SLR(衛星レーザ測距)装置を開発・実証し,世界における SLR の位置づけにインパクトを与えようとするものである.4年計画の最終年にあたる2023年度においては,これまで開発を続けてきたそれぞれのコンポーネントを組み合わせ,1つのパッケージとしてまとめた.国立極地研究所の屋上などで,地上そして人工衛星へレーザパルスを発射し測距試験を行った.数か月にわたる試験と改良を重ねた結果,2023年12月には低軌道の人工衛星への測距観測にはじめて成功した.その後,2024年3月には国土地理院の石岡測地観測局に移設し,長期試験を始めるところである.衛星測距データの予備的な解析も行っている.1ショットあたりの精度は 7-8 cm であるが,15秒から120秒の区間代表値として作るノーマルポイントデータでは,理論値ながら 3-4 mm を達成している.これは,高繰り返し率のレーザの恩恵により,データの量が区間あたり最大で 500 個取得できることによる.観測装置が小型・低価格であることによる制約はあるが,この精度の測距データが安定的に提供できれば,「使える」宇宙測地技術として普及に貢献できる.研究代表者・研究分担者の間では非常に緊密な研究推進体制を構築できた.さらに,関係機関の方々から,当初予想をはるかに超える協力の申し出を受けており,本研究への期待は大きい.測地目的に限らず,通信や時刻周波数伝送などの新たな応用分野も開拓画来た.国内はもとより海外からの注目も高く,世界的に SLR 技術の新たな潮流を生み出すことができた.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 9件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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