研究課題/領域番号 |
20H01994
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
桑原 秀治 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (50505394)
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研究分担者 |
M Satish‐Kumar 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313929)
伊藤 正一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60397023)
土屋 卓久 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (70403863)
出倉 春彦 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 講師 (90700146)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 炭素 / 同位体分別 / 核 / マントル |
研究実績の概要 |
本年度は前年度で行った圧力2GPa、温度1650℃の条件における金属鉄-ケイ酸塩液相間の炭素同位体分別実験の回収試料分析(エネルギー分散型X線分光器による主成分分析、ラマン分光測定によるケイ酸塩中の炭素分子種の同定、二次イオン質量分析による炭素同位体比測定)を行った。主成分元素について、一部試料中の金属鉄と外側に配置した白金カプセルとの反応が見られた。ラマン分光測定ではケイ酸塩中の炭素濃度が低く、分子種の同定ができない試料も一部あったが、CH結合や元素状Cに由来するピーク(1300cm-1と2900cm-1付近)を確認した。この結果は先行研究とも調和的である。また、二次イオン質量分析によって金属鉄-ケイ酸塩液相間の炭素同位体分別係数(Δ13Cmetal-silicate)について、ケイ酸塩側が非常に軽い炭素に富む約+800~1400‰という値が得られた。一部の試料については同位体比の分布が非常に不均質であったため、測定対象からは除外した。本年度得られたΔ13Cmetal-silicate値は先行研究における液体鉄-グラファイトもしくはダイヤモンドの値(-2~-4‰)と比較して異常に高い結果であった。 第一原理計算による研究では、本年度はCO2分子の交換反応を仮定した金属鉄-ケイ酸塩液相間の炭素分配係数を圧力135GPa、温度5000Kの条件で調べた。その結果、ケイ酸塩中の酸化鉄が増加するとともに炭素の親鉄性が増し、金属鉄中の酸素量が増加するとともに炭素の親鉄性が減少することが明らかとなった。第一原理計算から得られた金属鉄-ケイ酸塩液相間の炭素分配係数は最近のダイヤモンドアンビルセルを用いた実験の外挿値と調和的な値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における出張制限や研究代表者のライフイベントが重なるなどしたため、当初予定していた高圧実験回収試料の分析を十分に行うことができなかった。一方で、本年度の実験により、試料内での同位体平衡を保証する実験が新たに必要であることが示唆された。したがって、進捗状況として、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は大学間の出張制限が緩和される見込みのため、分析については滞りなく行える予定である。また、予備的な分析結果に基づいて、実験条件の改良を行う。具体的には内側カプセルの単結晶MgOもしくはSiO2カプセルの厚みを増し、予備実験で見られた試料の鉄と外側白金カプセルとの反応を防ぐ。また、予備実験試料内において同位体平衡に至っているか確認するため、本年度は長時間保持の実験も行う。実験結果が出次第、第一原理計算との比較を行うことも目標とする。
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