研究課題/領域番号 |
20H02000
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 順司 九州大学, 理学研究院, 教授 (60378536)
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研究分担者 |
吉村 俊平 北海道大学, 理学研究院, 助教 (20706436)
馬上 謙一 北海道大学, 理学研究院, 助教 (70624758)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 炭素同位体比 / 窒素同位体比 / 流体包有物 / 捕獲岩 / マントルウェッジ |
研究実績の概要 |
本研究では“マントルウェッジにおける海洋プレート由来炭素の有無”を検証することを目指している.地球表層の炭質物が地球内部に沈み込むプロセスについては様々な分野で研究が重ねられているが,地表へ戻る道筋に関してはモデルの域を出ない.マントルウェッジへの海洋プレート由来炭素の流入は,マントルウェッジにおけるマントル対流やマグマ生成,揮発性成分の循環など,地球の表層と内部をつなぐ熱や物質の流れに大きな影響を及ぼす.そこで本研究では,地球表層物質とマントル物質間で同位体比が顕著に異なる炭素に注目し,マントルウェッジのかんらん岩捕獲岩中に地表物質由来の炭素が含まれているか調べることを主眼に置いている. 従来の研究の問題点は,地表地殻の混入が避けられない火山岩や火山性ガスを用いていたことである.そのため,地表物質由来の炭素同位体比が得られても,沈み込み由来炭素を検出したのか火道地殻の炭素が混入したのか判別できない状況に陥っていた.そこで本研究では,マントルウェッジ由来の捕獲岩に存在する流体包有物の炭素同位体比を直接測ることで,マントルウェッジにおけるリサイクル炭素の有無を査定する. そのため本研究では,マントル由来の捕獲岩中の流体包有物の炭素や窒素の同位体比を測定することを目指しており,令和3年度においては,CO2およびN2流体の炭素同位体比および窒素同位体比を決定するための測定装置を組み上げる作業を行った.炭素同位体比については10パーミルを下回る精度で決定できるようになり,窒素同位体比についても16パーミルの精度に達し,その成果を国際誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,同位体比測定システムの構築を達成できたため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和4年度は,計画通り炭素・窒素の同位体比測定を進め,その成果を国際誌に公表する.
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