研究課題/領域番号 |
20H02013
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
グルッド ロニー 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60814978)
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研究分担者 |
北里 洋 東京海洋大学, 学術研究院, 特任教授 (00115445)
豊福 高志 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30371719)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生元素循環 / 超深海海溝域 / 生物地球化学 / 微生物 / 現場観測 / 超深海環境再現装置 / ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、海洋表層の一次生産量が高い千島・日本海溝から一次生産量が低い伊豆・小笠原海溝において海溝現場における観測調査を行い、生物地球化学および微生物群集についての知見を得ることを目的とする。このために、新規の自律型現場観測装置を開発・運用し、海溝底で有機物の無機化速度を測定すると共に、堆積物を採取して微生物群集の組成と生態系機能を検討し、生物生産の勾配と微生物による有機物の無機化との関係を明らかにする。さらに、海底に到達する有機物質の起源や、潜在的な含有が懸念される残留性有機汚染物質(persistent organic pollutants; POP’s)の濃度を測定する。調査で得られる結果は、現在課題提案者らで進行中の、北部北太平洋、南極海および西部・東部南太平洋にそれぞれ位置する貧栄養および富栄養環境下の海溝における調査結果と比較する。 令和3年度は、日本海溝の調査を行うことにしていた。しかし、コロナ感染拡大に伴い、令和3年度も2年度に引き続いて航海が中止されたので、研究目的を達成するために重要な3つのことを中心に行い、成果をあげた。 1)ケルマディック海溝、アタカマ海溝をはじめとする過年度の海洋調査で採取した深海海溝域の試料・データの分析を進め、一部の成果は論文として公表した。(主要論文14篇のみ掲載) 海溝域の環境を再現できる加圧培養装置を新たに開発し、実験を開始した(主要論文2篇のみ掲載) 。また、超深海海溝域での調査に必要な機器類(セディメントランダー、セディメントトラップ係留系)を設計開発した。 3) 令和4年度に計画している日本周辺海溝での潜航調査、日本海溝三重会合点調査に向け、調査地点の詳細な海底地形地質情報、生物などに関する成果を整理した。また、研究に必要な機器類、消耗品類を購入し、実験室の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため、令和2年度に引き続き、令和3年度も航海は中止された。痛手であった。しかし、比較対象とする他の海溝における研究が進められた。また、過年度の試料を用いた分析を進め、論文化できた。この成果がマイルストーンとなり、令和4年度の調査研究を行う発射台が準備できた。研究に用いる加圧培養装置、超深海仕様のsediment lander の開発を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、超深海海溝域における生物学と正元素循環に注目し、海溝域がどういう役割を果たしているかを明らかにすることである。令和4年度に、2回の航海(Pressure Drop 号による日本周辺超深海海溝の潜航調査、海鷹丸による日本海溝ー伊豆海溝ー相模トラフ三重会合点調査)を実施する。これらの調査結果をまとめ、採取した試料を分析し、海洋表層の基礎生産が超深海海溝域の生態系にどういう役割を果たしているのかを明らかにしてゆきたい。
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