研究課題/領域番号 |
20H02015
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
白石 史人 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30626908)
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研究分担者 |
Das Kaushik 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40634077)
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 副主任研究員 (50726958)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 縞状鉄鉱層 / 鉄酸化細菌 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスによる渡航制限のため,今年度に予定していたインド・グワリオール地域における地質調査は実施できなかった.そこで,予察的調査によって既に採集していた128個の試料に関して,詳細な検討を行うこととした.薄片観察の結果,新たに複数試料から微化石を発見した.それらは,これまでに発見されていたフィラメント状のものだけでなく,ココイド状のものも含まれており,後者はペロイドのような産状を示すことが明らかとなった.これら微化石を含む試料に対して,希土類元素濃度を測定するためにマイクロドリルを用いて粉末試料を作成した.また,ユーキシニック中層の有無を明らかにするために,粉末試料から段階抽出法によって7つの溶液試料に分画し,誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いてそれぞれの鉄濃度を測定する鉄化学種解析の検討も開始した. また,中央インド構造帯マハコーシャル盆地ダドハマニヤ層に含まれる縞状鉄鉱層に着目した研究も開始した.この縞状鉄鉱層の形成年代を制約するため,下位のパルソイ層に見られる火山砕屑岩に含まれるジルコンのウラン―鉛年代をレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計によって測定したところ,約18.94億年前という年代が得られた.これにより,ダドハマニヤ層の縞状鉄鉱層はグワリオール地域のものと同じオロシリア紀に形成されたことが明らかとなった.この研究によって得られた結果をまとめ,現在論文を投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたインドでの現地調査は実施できなかったが,既存の試料から新しい結果が得られている.マハコーシャル盆地に関しても,順調に結果が得られ,すでに論文投稿を終えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず,昨年度に新たに発見された微化石の形態計測を行い,既知の微化石および現世微生物と比較する.次に微化石を含む薄片に対してSEM-EDS分析およびEPMA分析を行い,微化石を構成する元素を特定する.また昨年度に引き続いて,凝灰岩等の試料からジルコン分離を行い,ウラン―鉛年代を測定する.加えて,粉末試料の希土類元素濃度測定,および段階抽出した溶液試料の鉄化学種解析を行う.1月頃までに新型コロナウイルスの影響が収束して渡航が可能になった場合は,インド・グワリオール地域における地質調査を実施する.
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