研究課題/領域番号 |
20H02015
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
白石 史人 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30626908)
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研究分担者 |
Das Kaushik 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40634077)
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (50726958)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 縞状鉄鉱層 / 鉄酸化細菌 |
研究実績の概要 |
今年度は,昨年度までに薄片観察で発見した微化石の中から,最も細胞のような構造がはっきり見えるものを選定し,その詳細な特徴を明らかにした.まず薄片の微化石を含む部分から集束イオンビーム加工によって薄膜試料を作成し,それを走査型透過X線顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて観察した.走査型透過X線顕微鏡による観察では,微化石のチューブ内に有機物の存在を示すような炭素・窒素の分布はほとんど見られなかった.また微化石が鉄酸化細菌であった場合に期待される,チューブ表層を覆う鉄酸化物も見られなかった.チューブの内壁からは,非晶質シリカを示唆するNEXAFSスペクトルが得られたが,これは集束イオンビーム加工によるアーティファクトの可能性が高い.一方で,薄膜で観察される範囲内において,チューブ内に直径0.5μm程度の鉄に富む粒子と炭素に富む粒子がそれぞれ1つずつ発見された.透過型電子顕微鏡による電子線回折パターンとEDSによる元素分析から,炭素に富む粒子は有機物,鉄に富む粒子はゲーサイトであることが明らかになった.透過型電子顕微鏡による観察ではまた,チューブ内壁にサブミクロンサイズの石英が露出して粗くなっていることが確認され,このチューブ構造がAmbient Inclusion Trailsのような偽化石でないことが明らかとなった.これらのことから,このチューブ状構造は微化石であるが,集束イオンビーム加工中に内部が抜け落ちた,もしくは続成作用などによって大部分の有機物や鉄酸化物が失われたものと推定される.これらの結果を踏まえ,今後はより黒色または褐色を呈する微化石を選定することで,その本来の特徴がより詳細に明らかになるものと期待される.
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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