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2020 年度 実績報告書

生体分子に着目した“化石種にも使える”高精度有孔虫Mg/Ca水温計の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20H02016
研究機関高知大学

研究代表者

氏家 由利香  高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (20573041)

研究分担者 遠藤 博寿  筑波大学, 生命環境系, 研究員 (60396306)
石谷 佳之  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 特任研究員 (60772043)
Ulanova Dana  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (70610129)
吉村 寿紘  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 研究員 (90710070)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード飼育実験 / 浮遊性有孔虫 / トランスクリプトーム解析 / タンパク質組み替え
研究実績の概要

浮遊性有孔虫は、環境の影響を受けて炭酸塩殻を形成し、殻のMg/Ca比は水温の指標として古環境学で非常に重用されている。しかし、殻のMg/Ca比は海水の組成と非平衡であり、その要因である生物の代謝については解決されることなく、経験則で水温換算を行ってきた。最新の分子生物学の研究により、有孔虫の殻形成では、細胞外にCaイオンを輸送する生体分子が有意に発現し、この代謝が殻のMg/Ca比の制御に極めて効果的であると示唆された。そこで本研究では、温度に対するCaイオン膜輸送体の発現量などを検証し、水温と殻のMg/Ca比の関係を生体分子の熱特性から解明し、有孔虫Mg/Ca水温計の精確性を高めることを目的としている。
本研究では、飼育実験、Caイオン膜輸送体の遺伝子群の同定、それらのアミノ酸配列を用いたタンパク質組み替え実験、タンパク質の熱変性の検証を実施し、他方、殻の微量元素分析によるMg/Ca比との比較を行う。
浮遊性有孔虫は、季節性で多産する種が異なる。そのため、夏季と冬季で複数回にわたってサンプリングを行い、複数種について異なる水温で飼育実験を行った。飼育実験中に殻を形成した個体からRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を行うことによって、有孔虫殻のMg/Caに対し決め手となるCaイオン膜輸送体の遺伝子群の確認を行っている。その一方で、Caイオン膜輸送体の遺伝子配列がすでにわかっている底生有孔虫を用い、大腸菌による組み替えタンパク質の発現、精製に関する予察的実験を行った。
殻のMg/Ca比分析については、極小領域で微量元素を分析するため、試料の前処理や測定方法の検証を行った。また、夏季・冬季に産出する浮遊性有孔虫種において、飼育実験中に殻を形成した個体を取り出し、殻分析用に確保した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症拡大に伴う研究自粛要諦で、サンプリングや飼育実験に大いに支障がでた。その結果、初年度で必要なサンプルが確保できず、翌年へ繰越となった。

今後の研究の推進方策

Caイオン膜輸送体に関して、効率よくタンパク質組み替え作業を行うため、別途継代飼育により維持している底生有孔虫を用い、予察的な実験を実施している。同結果によって、浮遊性有孔虫を用いた実験も円滑に実施できると期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Time-course analysis of gene expression of a benthic protist during exposure to titanium dioxide nanoscale particles2020

    • 著者名/発表者名
      Ishitani, Y., Ujiie, Y., Ciacci, C., Frontalini, F. and Inagaki, Y.
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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