研究実績の概要 |
本年度は、炭素源となる有機酸系、炭素・窒素源となるアミノ酸とともに、硫黄源の給源を考慮し、単離株を用いた栄養性の応答の動態解析を行った。その解析には、ペプチド結合を介在した分子自身の性質(易分解性)に加え、試料由来の有機・無機マトリックス効果の除去、分子種の多様性など分析上の克服点が多少存在した。それゆえに、アミノ酸に比べて、詳細な動態や知見が遅れ気味であったという側面があるため、分析の最適化の意義は大きいと考えられた。この点は、産業技術総合研究所との共同研究で相互補完した。
具体的には、1)短鎖ペプチド類には、同じ化学組成で、同じ質量数の分子が存在することから、クロマトグラフ ィーによる分離が必須であり、オンライン質量分析法の最適化を行った。2)濃度既知のスタンダードを用いることで、シグナルの積分値から未知試料の濃度換算ができるので、その定量性のダイナミックレンジを検証した。3)オンライン分析法のトリプル四重極質量分析計による多重反応モニタリング法(Multiple Reaction Monitoring, MRM)により、極微量化(~フェムトモル)スケールでの確度保証を行った。
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