研究課題
2023年度は、(1)新しい技術開発と(2)フィールド調査での炭素循環(多次元同位体システマティックス)の総括を行った。まず、(1)新しい技術開発では、自然界に広く存在する核酸塩基(プリン塩基、ピリミジン塩基)およびアミノ酸(エナンチーマーを含む)について、定性的および定量的な評価に加え、分子レベルの炭素・窒素安定同位体比の計測方法を完成させた。地球物質としての海洋堆積物や基礎生産者の核酸塩基の分子動態ならびに安定同位体組成の正確な評価を行い、国際シンポジウムおよび国際誌において成果発表を行った。前処理を含む湿式操作、クロマトグラフィーおよび高分解能質量分析法のシームレスフローの最適化ならびに一連の分析確度の保証を完了した。次に、(2)フィールドでの炭素循環に関する調査研究では、糸魚川静岡構造線と中央構造線の交点に位置する日本最大のプルアパート断層である諏訪盆地の深部炭素動態の総括を行った。具体的には、諏訪盆地の水文学的・地質学的セッティングが駆動する地下生命圏と深部炭素循環を有機分子レベルの評価と多次元同位体システマティックスで読み解いた。諏訪湖は、糸魚川静岡構造線と中央構造線の交点に位置する日本最大の断層湖であり、湖面積の約40倍の集水域(512km2)を有している。堆積速度が非常に早く(~1cm/yr)、その堆積層は370m以上とされる。この堆積盆の深層には、膨大なメタンガス埋蔵が観測されており、メタンを含む深部流体は、諏訪湖内でも活発に湧出している。湖全体における放射性炭素アイソスケープ(Δ14C)を解析し、炭素循環(δ13C)および窒素循環(δ15N)を合わせた多次元同位体システマティックスを展開した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (3件)
Geochimica et Cosmochimica Acta
巻: 365 ページ: 253-265
10.1016/j.gca.2023.10.024
Analytical Sciences
巻: 40 ページ: 781-789
10.1007/s44211-023-00503-5
Rapid Communications in Mass Spectrometry
巻: 37 ページ: e9602
10.1002/rcm.9602
BUNSEKI KAGAKU
巻: 72 ページ: 249-256
10.2116/bunsekikagaku.72.249
岩波「科学」
巻: 93 ページ: 1033-1037
https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=16078
https://www.heibonsha.co.jp/book/b640570.html
https://bunseki.jsac.jp/wp-content/uploads/2024/05/p175.pdf