本研究は、力学的な負荷ひずみと、従来は材料機能を劣化させる因子として忌避されてきた欠陥によって新奇な磁性強誘電体を創り出すことで、材料力学的観点に基づく全く新しい機能創成の可能性を開拓した点にその学術的意義がある。特に、臨界寸法以下の強誘電性は存在し得ないという従来概念を覆し、格子欠陥によって究極的に小さな原子寸法の磁性強誘電体の可能性を示した点にその特徴がある。また、負荷・電場・磁場の複合力場による複数の極性(磁気モーメント・分極)を利用した新規情報記録デバイスの超大容量化などの新しい技術を開拓するためのナノ機能要素を示した点に産業応用としての社会的意義がある。
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