研究課題/領域番号 |
20H02032
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
きゅう 建輝 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40244511)
|
研究分担者 |
境 英一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (70581289)
張 国宏 秋田県立大学, システム科学技術学部, 特任助教 (20866868)
金澤 伸浩 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40315619)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 複合材料 / 力学特性 / 生分解性 / 水環境 |
研究実績の概要 |
本研究では親水性を有する迅速に分解できる新規生分解性複合材料を創製し、その組成、内部構造と力学特性、分解特性との関係を明らかにするとともに、水環境下(海水、河川)におけるその複合材料の力学特性および分解メカニズムを明らかにすることを目的としている。そのため、海洋と河川での現地試験および自然水環境における各条件を制御した実験室での試験を行い、各材料の内部構造、力学特性、分子量などの変化を定期的に調べ、生分解特性に及ぼす水環境成分、気候、温度、材料の組成などの影響および分解メカニズムを明らかにする。本研究の実施により生分解性高分子材料のより広範囲への応用、廃棄プラスチック汚染の低減に貢献したいと考えている。 当該年度では、BioPBS/TPS複合材料を作製し、表面観察、熱分析による組成分析また力学特性とモルフォロジーから複合材料の性能を評価し、相溶化剤としてTAを添加し、複合材料に及ぼす添加効果を調査した。結果として、T複合材料では、BioPBS/TPS=50/50、60/40を境に母材に依存した破断挙動を示した。降伏ひずみ,引張弾性率ともにBioPBSの重量割合の増加にしたがっておおむね線形的に上昇傾向にあることから複合化によってBioPBSによる補強効果が得られていることが判明した。しかし、BioPBSとTPSは非相溶であることが示された.そこで、相溶化剤として天然由来のカルボン酸である酒石酸(TA)を添加したところ、引張特性は向上し、その内部構造からもBioPBS-TPSの相溶性が改善している様子が見られ、相溶性の改善においてTAが有益であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、研究分担者や研究協力者である学生との連携が遅れ、開始時期が遅れたことが最大の原因である。一方で、複合材料の基礎は当初予定していたものよりも優れたものが得られており、次年度(2021年度)には期待が持てる結果となった。
|
今後の研究の推進方策 |
得られた知見を前提としつつ、引き続き、新規生分解性複合材料の創製方法について検討し、次いで水環境下(海水および河川)におけるその組成、内部構造と力学特性、分解特性との関係について調べる。これより、その複合材料の力学特性の経時変化および分解メカニズムの基礎的知見を得る。
|