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2021 年度 実績報告書

ミュオンスピン緩和・回転法による鉄合金の水素拡散・捕獲と水素脆性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H02037
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

西田 信彦  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 嘱託 (50126140)

研究分担者 伊藤 孝  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10455280)
森永 正彦  公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 研究員 (50126950)
髭本 亘  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90291103)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード鉄鋼の水素脆化 / ミュオンスピン回転緩和法
研究実績の概要

鉄鋼の水素脆化は長年研究されているが、まだ未解決である。本研究は、正ミュオンが物質中で擬似水素としてふるまうので、鉄鋼中の拡散トラップが主要合金元素によっていかに影響を受けるかを調べるものである。鉄合金への水素の溶解度は非常に小さいのでその拡散過程を調べる微視的な手段は存在しなかった。国内のミュオン実験施設J-PARC MUSEにおける我々の今までの実験結果から、スピン偏極正ミュオンを用いる新手法が鉄希薄合金中の水素拡散研究に有効であることが明らかになり、鉄鋼の水素脆化理解の助けになることがわかった。その結果は、2022年3月に開催された日本物理学会で「鉄希薄合金中の正ミュオンの拡散・捕獲のミュオンスピン縦緩和法による研究ー鉄鋼水素脆性理解にむけて」と題し発表した。第一原理計算による計算結果と比較して解釈が試みらえている。鉄鋼中の主要合金元素と水素との相互作用、合金元素が局所的にもたらすひずみ場が水素の拡散に大きく影響することもはじめて明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国内で行った実験で鉄合金中の正ミュオン、即ち、水素の拡散の研究にミュオンスピン縦緩和法が有効であることをはじめて示すことができ、この研究成果を日本物理学会年会で報告したことから、おおむね順調に進展していると判断する。しかし、さらなる定量的議論を行うためには、時間分解能の良い海外のミュオン実験施設を使用した実験が必要となるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、国外渡航に制限が生じたことにより、海外ミュオン実験施設における実験を行うことができず、時間分解能の良いデータ取得を行う実験に遅れが生じている。この実験については、カナダTRIUMF研究所で行うことが認められており、2022年10月の実施を予定している。

今後の研究の推進方策

さらに実験を発展させるために、時間分解能の良い海外の実験施設での実験が必要であるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、国外渡航に制限が生じたことにより、2年間に亘り、実験を行うことができなかったが、2022年度、カナダバンクーバーのTRIUMF研究所において実験を行うことが認められたので、2022年10月に同研究所において実験を実施する予定である。この実験結果と国内J-PARCでの実験結果をあわせて、第1原理計算との比較により正ミュオンの鉄希薄合金中の拡散捕獲の理解がさらに進展すると期待している。水素脆性のない鉄鋼の開発に寄与できると考えている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をの影響を受け、開催が2年間延期になっていた第15回ミュオンスピン回転緩和共鳴国際会議がイタリアで2022年8月末に開催されることになったので、同会議に出席し、今までの研究成果を発表するとともに、情報を交換する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 鉄希薄合金中の正ミュオンの拡散・捕獲のミュオンスピン縦緩和法による研究ー鉄鋼水素脆性理解に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      西田信彦、髭本亘、伊藤孝、森永正彦、西山佳孝、大村朋彦。澤田英明、小林憲司、湯川宏、吉野正人
    • 学会等名
      日本物理学会

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公開日: 2022-12-28  

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