2022年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 *変位計測の干渉計として正弦波位相変調法を採用した。この干渉信号は変調周波数の整数倍の高調波の振幅に変位情報が含まれる。この効果を元に変位を復調する手法として、位相変調周波数より12倍速く最適なタイミングで干渉信号をサンプリングし、このデータ間の四則演算により2倍と3倍高調波の振幅を得る手法を採用した。共振型電気光学素子を採用し位相変調周波数を10MHzとし、上の復調法を実現するためにサンプリングレート120MHz・分解能16bitのアナログデジタル変換器を有する高速論理回路Filed Programmable Gate Array(FPGA)を用いた。上の復調法をFPGAに実装した。変位情報は変調周波数の整数倍の高調波の振幅に含まれ、それ以外の周波数帯は雑音となる。FPGAに変調周波数の整数倍の高調波のみ透過させかつその周波数では位相は変化させないコムフィルターを実装し、復調前の前処理フィルターとした。 *低熱膨張鋳鉄プレートに干渉計・平行バネ型圧電素子ステージを組込んだ高剛性(共振周波数10kHz以上)の一体型干渉計駆動系を構築した。またこの装置を内包する内壁が熱伝導率の良い銅板で出来た箱を製作した。 *コムフィルタのない場合の追従速度0.6m/sと分解能1nmを達成した。コムフィルタがある場合に追従速度0.6mm/sと分解能20pmを達成した。 *銅箱とコムフィルタの採用により、ノイズフロアが改善された。10~10kHzで0.2pm/root(Hz)、10kHz~1MHzで0.01pm/root(Hz)以下であった。
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