研究課題
本研究の目的は,多光子励起とその無輻射失活の2段階過程を利用した新規局所熱還元により,世界で初めて非貴金属を回折限界以下の微小空間へ析出する,光-熱還元析出プロセスを創出することにある.令和4年度は,前年までに構築したポンプ・プローブ計測システムを用い,グリオキシル酸Ni,及びCo錯体原料インクからの近赤外フェムト秒レーザパルスの連続照射時の金属析出の超短時間現象観測を行った.繰返し周波数80 MHzの近赤外フェムト秒レーザパルスを還元析出用ポンプ光と,観測用プローブ光に分波し,プローブ光にディレイをかけることで,照射後0秒から600 psまでの透過率変化と照射完了後の透過率を計測し,析出過渡現象を検討した.グリオキシル酸Ni錯体インクからの析出では,描画速度0.1 mm/s,1 mm/s,8 mm/sとしたとき,8 mm/sでは照射後600 ps以内で最も透過率が高く析出量が小さいことを示唆している.一方,照射後の透過率は最も低くなり,析出現象が600 psにも続いていることが明らかとなった.一方,0.1 mm/s,1 mm/sでは600 ps以降透過率が増加した.これは,過剰照射による溶融・アブレーションが生じていることを示唆している.描画速度0.1 mm/sでラスタ描画したパターンの結晶構造解析から,ニッケル酸化物(NiO)の生成が多いことも明らかになり,過剰な照射により誘起されたと考えられる.グリオキシル酸Co錯体インクからの析出では,描画速度8 mm/sにおいて,照射後200 psで透過率が低下した後,400 ps以降では透過率が再び増加し,0 sと一致した.これは,繰返し照射により析出金属が緻密化し,散乱光が低下したためと考えられる.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of 33rd 2022 International Symposium on Micro-NanoMechatronics and Human Science (MHS2022)