研究課題
本研究では、金属組織を作り込むときに通常考慮される「温度場」だけでなく、これまで無視出来るほど小さかった「圧力場」を新たに取り入れることによって、これまでに無い新しい金属組織制御法の基盤となる新しい学理を構築する。具体的には、液相から凝固が開始する際に圧力を印加し微細な凝固組織を形成する学理(新学理A)と、固相に衝撃波を印加し通常の塑性変形では考慮されない転位生成を陽に考慮し効率的に塑性変形を誘起する学理(新学理B)である。本研究の目的は、この新しい学理を基に、ナノ秒レーザ誘起圧力波とフェムト秒レーザ誘起衝撃波を「圧力場」として利用することによって、割れの無い高強度な溶接継手を実現する新しい高速レーザ溶接法を開発することである。2022年度は、これまで実施してきたプロセス1とプロセス2の融合であるプロセス3を実施した。*プロセス1:新学理Aに基づき、レーザ溶接中に溶接部近傍にナノ秒レーザを照射し、ナノ秒レーザ誘起圧力波によって溶接金属の組織を微細化することによって高強度化するプロセス、*プロセス2:新学理Bに基づき、レーザ溶接中に溶接部近傍にフェムト秒レーザを照射し、フェムト秒レーザ誘起衝撃波によって熱影響部をピーニングし高強度化するプロセス、*プロセス3:プロセス1とプロセス2を組み合わせることによって、単なるプロセスの足し合わせではなく、圧力波と衝撃波の重畳効果によって溶接部全体(溶接金属+熱影響部)の強度を向上させるレーザ溶接プロセス
2: おおむね順調に進展している
計画通り、これまで実施してきたプロセス1とプロセス2の融合であるプロセス3を実施した。
2023年度は、2022年度に引き続き、プロセス1とプロセス2の融合であるプロセス3を実施する。2023年度は、本研究で構築された学理の普遍性を調べるため、析出強化型アルミニウム合金だけでなく、3000系や5000系の非熱処理型アルミニウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金といった他の構造用金属材料などへの適用を試みる。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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