切削加工の残留応力に関する学術的研究は古くから進められているが、それらの多くは切削試験に基づいた定性的な議論にとどまっている。本研究課題では、ドリル切削に対するシミュレーションによって、穴の内周面に対して切れ刃の最外周部による負荷を解析し、これに基づいて定量的に残留応力を推定することが可能となった。また、開発した推定システムは単に平均的な残留応力を推定するのではなく、穴の深さ方向に対して残留応力分布を推定できる。このことは、これまでの研究では試みられていなかった成果である。この推定システムにより、所定の残留応力に対して、ドリル形状と適用できる切削条件を明示することが可能となった。
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