研究課題/領域番号 |
20H02054
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢地 謙太郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (90779373)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トポロジー最適化 / データ駆動型設計 / マルチフィデリティ設計法 / レドックスフロー電池 / 深層学習 / 設計工学 |
研究実績の概要 |
風力や太陽光といった自然エネルギーを貯蔵するための次世代の大規模蓄電システムとして、レドックスフロー電池(RFB: Redox Flow Battery)が注目を集めている。これに伴い、RFBに関する研究開発が世界各国で盛んに行われているものの、実用化にはさらなる充放電性能の向上が求められている。この課題に対し本研究では、RFB内部の流路構造が充放電性能に強く影響することを踏まえ、数理的な最適設計手法を駆使することで、RFBの超高性能化に繋がる革新的な流路構造の創成を目指している。この研究目的に対し、本年度は、データ駆動型設計を実現するための基盤構築に向け、枠組みの洗練化および必要な入力データの準備に注力した。入力データの確保に向けては、従来から研究を進めてきたトポロジー最適化を利用することで、網羅的に解候補を生成する仕組みを構築し、流体、構造、熱の物理場を扱う様々な例を題材に検証を実施した。また、国際共同研究として米国の研究者との共同研究も実施し、データ駆動型トポロジー最適化の枠組みの中核となる深層生成モデルを有効に利用する方法や、従来の物理場の数値シミュレーションに代わる方法として深層学習を利用する方法の実装を検討した。その結果、本研究で対象とする流体問題に限らず、構造や熱の問題においても高い汎用性を有することがわかった。今後は枠組みとしての有用性も高めつつ、引き続きRFBの高性能化に向けた方法論の洗練化を行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により渡米の時期が遅れたことで、およそ半年に渡る予定変更が必要となった。日本で行う研究については概ね予定通り進めることができたものの、米国での取り組みは半年遅れたこともあり、研究で使用する大型計算機の購入費を次年度に繰り越し、提案する枠組みの数理基盤の構築に注力した。なお、大型計算機については2022年度に購入し、帰国後の大規模計算に活用することで、遅れをほぼ取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は構築した枠組みをベースに計算の大規模化およびRFBへの具体的な展開を図る。また、本研究で提案する枠組みの基盤となるトポロジー最適化についても洗練化を図る。これにより、入力データの迅速な生成や解候補の多様性を高める工夫を取り入れていく。大規模計算については高性能GPUを積んだメニーコアの計算機により、物理場の数値シミュレーションと深層学習を効率的に行うためのプログラムコードの開発を進める。その上で、RFB以外の問題についても検討し、提案する枠組みの確立を目指す。
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