研究課題/領域番号 |
20H02066
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 泉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70798602)
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研究分担者 |
渡邊 威 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345946)
後藤 俊幸 慶應義塾大学, 自然科学研究教育センター(日吉), 訪問教授 (70162154)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 混相流 / 乱流変調 / 乱流・粒子間相互作用 / 雲乱流 / 乱流統計理論 / 大規模シミュレーション |
研究実績の概要 |
本年度は、まず前年度に査読付英文誌に提出中であった論文の修正のために、追加の調査を行った。第一に、熱慣性を持つ粒子群による周囲の流体温度場の変調についての研究では、粒子が運動量慣性を持ち、クラスタリング効果などが生じる場合であっても、流体温度場のゆらぎの分散などの統計量は大きな影響を受けず、運動量慣性が無い場合を想定して開発した統計モデル(ランジュバンモデルに基づく)で良く説明できることが明らかになった。この追加調査を含めて、査読付英文誌に掲載された。第二に、エディ・ホッピングモデルの理論解およびモデル縮約の研究については、本研究で提案した縮約モデルと従来のモデルの比較を追加で行った。その結果、ラージエディシミュレーションなどで想定されるパラメータ領域では、縮約モデルは従来モデルとほぼ同じ結果を出すことが明らかになった。これにより、縮約モデルの利便性が確認された。この追加調査を含めて、査読付英文誌に掲載された。 次に、ラグランジュ描像に基づくスカラー乱流の問題に取り組んだ。まずは格子点数256の3乗以下の比較的小規模な計算を行った。その結果、スカラー分散スペクトルにおける-1の傾きなど、シミュレーション結果が乱流統計理論の予言とよく整合することが確認できている。これらの成果を論文にまとめ、英文査読誌に投稿する予定である。 また、微小粒子群による過飽和度場の時間相関の変調についての研究では、Lanotte らの先行研究を参考にして、雲乱流コードの単純化・効率化を行った。即ち、温度と水蒸気混合比の2つのスカラー場を、過飽和度の1つのスカラー場に縮約すること、また雨粒群の凝縮・蒸発による過飽和度場へのフィードバック効果を、水滴の平均半径に基づく時間スケールによる過飽和度場の緩和として表現するなどした。これによりシミュレーションが効率化され、大規模・長時間の計算の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度から取り組んでいた研究を査読付英文誌に掲載することができ、また次に行う調査で用いるプログラムが概ね完成し、小規模な計算でのデータが蓄積するなど、今後の研究の準備も予定通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究により準備したプログラムを土台として、ラグランジュ描像に基づくスカラー乱流の問題および、微小粒子群による過飽和度場の時間相関の変調についての研究を進めていく。
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