研究課題/領域番号 |
20H02068
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 晋 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40321616)
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研究分担者 |
大槻 道夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30456751)
犬伏 正信 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20821698)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乱流 / 乱流変調 / 秩序構造 / 数値シミュレーション / 室内実験 |
研究実績の概要 |
数値シミュレーション研究に関しては、ほぼ計画通りに遂行できた。(1)まず、剛体粒子の添加による乱流変調現象に関しては、周期境界条件下の一様乱流に対して添加する粒子のパラメタ(大きさや質量密度など)を系統的に変えた数値シミュレーションを多数回実行し、球形の剛体粒子群が乱流の強度を低減する条件を明らかにした。得られた結果は、従来までの室内実験や数値シミュレーションの結果とも整合する。(2)この研究を発展させて、弾性体粒子を添加することによる乱流変調現象に関する数値シミュレーションにも着手した。その結果、乱流中の秩序渦と弾性体粒子との相互作用に関する興味深い現象を見出した。(3)乱流変調現象ではないが(間接的に関係する研究として)、任意の質量密度をもつ微小な固体粒子が十分に発達した乱流中でクラスタを形成する条件を理論的に導き、これを公表した。提案した理論を非一様乱流(平行平板間乱流等)へも適用する研究にも着手した。(4)界面活性剤や高分子等の添加による乱流変調現象に関しても興味深い結果を得た。具体的には、散逸粒子動力学法を用いた数値シミュレーションに基づき、界面活性剤水溶液のせん断流中における界面活性剤のミセル構造の挙動に関する詳しい解析を行った。その結果、界面活性剤のミセルがせん断流の影響を受けて配向あるいは分裂する条件、およびそれらの現象が水溶液のレオロジーに与える影響を明らかにした。 一方で、実験研究に関する本年度の実績は以下の通りである。(1)固体粒子の添加による乱流制御に関する室内実験では、円柱状の剛体粒子を渦流れに添加した場合の興味深い現象を見出したが、現象の系統的な理解には至らなかった。(2)また、分子の添加による乱流変調現象の解明に向けた室内実験のために回流水槽を設計、製作した。しかし、下の項目に述べる理由で、系統的な実験はできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上の項目で述べたように、数値シミュレーション研究に関しては、おおむね計画通りに研究を進めることができたが、実験研究については、新型コロナウィルス対策のための大阪大学の活動基準の影響(学生の登校や新規実験の立ち上げの制限)もあり、計画からはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
固体(剛体や弾性体)粒子と流体との相互作用に関する数値シミュレーション研究に関しては、数値シミュレーションプログラムの開発も順調に進んでいるので、計算資源の確保を確実に行い、来年度以降も研究を強力に進めたい。さらに、二流体の混相乱流についても数値シミュレーションプログラムが完成したので、関連する研究に着手する計画である。さらに、分子の添加による乱流変調現象に関しても順調であるので、計画通りに研究を進めれば、良い成果が見込まれる。室内実験に関しては、2021年4月に着任した本告遊太郎助教を新たに研究分担者に追加することで、研究の遂行を加速する。
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