研究課題/領域番号 |
20H02077
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 寿 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40444020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 燃焼 / アンモニア / ヒドラジン / 再結合 / 熱分解 |
研究実績の概要 |
アンモニア燃焼反応において重要であるものの、その詳細な反応過程が解明されていないアミノラジカル再結合反応(NH2+NH2)を調べた。ラジカルの再結合反応において、三体衝突効果は重要な要素のひとつである。三体衝突効果の影響を調べるために、雰囲気ガスを変化させて、アンモニア酸化反応過程の化学種計測を行った。実験には、反応過程の詳細な分析を可能とする温度分布制御マイクロフローリアクタにガス分析装置を組み合わせて実施した。雰囲気ガスとして、モデル化のしやすい不活性な単原子分子のアルゴンを基本として、アンモニア専焼およびアンモニア・炭化水素混焼の排気再循環を想定して、水蒸気および二酸化炭素を対象とした。高濃度水蒸気を含む予混合気の混合比率と流量を正確に制御できるように、混合気供給系を液体試料も試験できるように改修した。ガス分析装置として、質量分析計およびガスクロマトグラフを用いた。マイクロリアクタから得られた計測結果を詳細反応モデルの予測結果と比較し、特にアミノラジカルの再結合反応およびそれに続く反応に着目し、反応モデルごとの反応素過程のモデル化の違いとモデル予測結果の差異を調べた。その結果、アンモニア酸化反応の開始条件に高い感度を示し、かつ、不確かさの大きい反応素過程を特定した。また、着火遅れ時間、燃焼速度、NOx生成など、他の燃焼特性の文献値を取得し、それらに対する反応素過程の影響についても調べた。また、アンモニアからのNOx生成および生成されたNOxが燃料の酸化に及ぼす影響についても調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガス分析におけるサンプリングプローブが破損し、サンプリングシステムの改修を行う必要が生じた。しかし、改修により頑強で信頼性の高いサンプリングシステムを構築でき、結果的にガス分析実験を効率的かつ高精度に実施できるようになった。この結果、全体計画としてはおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
特定した反応素過程において、水素が生成することが分かった。特に希薄条件においてはこの反応素過程からの水素生成が支配的であるため、水素計測結果を指標に反応素過程のモデル検証を実施できる見込みがある。そこで、新たに反応過程の水素計測を実施し、水素計測結果とモデル予測の比較により、反応素過程の正確なモデル化を試みる。
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