研究課題
アンモニア水噴霧燃焼のレファレンス条件として純液体アンモニア噴霧火炎の安定条件を明らかにするため、供給空気を700 Kまで予熱し、混焼熱量割合を10%としたメタンならびに水素混焼による液体アンモニア噴霧スワールバーナ火炎の安定限界を計測した.その結果,メタン混焼では火炎安定限界に純アンモニア噴霧火炎との違いは小さいが,水素混焼では希薄および過濃火炎ともに安定限界が広がった.これは混焼燃料が蒸発熱供給だけでなく反応に影響を及ぼしているためと考えられる.反応の特性時間と流れの特性時間の比であるダムケラ数が火炎安定性に影響を及ぼすし,特に前者は層流燃焼速度に逆比例するため,球状火炎伝播法により500 Kに予熱したアンモニア/メタン/水蒸気/空気混合気ならびにアンモニア/水素/水蒸気/空気混合気の層流燃焼速度(SL)計測実験を行った.その結果,燃料中のメタンおよび水素のモル分率0.3の場合,両火炎ともに,水蒸気モル分率が増大するとSLが急激に減少し,水蒸気モル分率0.5に達すると純アンモニア火炎に対して前者のSLは約57%,後者は約48%まで低下した.反応論的には火炎温度低下による連鎖分岐反応H+O2=OH+Oの抑制が大きく,発熱量が小さい水素は火炎温度低下が大きいことが原因である.スワール火炎では,熱量割合を等しくした効果が大きい.30%アンモニア水の沸点低下は小さく通常噴霧が形成されるが,液体アンモニアはフラッシュ噴霧が生じる.そこで,フラッシュ噴霧遷移を詳細に調べるため,単孔ノズルによる液体アンモニア噴霧観測を行い,従来クライテリオンとの比較を行った.その結果,液体アンモニアは噴射オリフィス構造の影響が大きく,従来クライテリオンとの整合性に乏しいことが分かった.アンモニア質量濃度が増大するとフラッシュ噴霧に徐々に移行することが予想され更なる現象解明が必要である.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Energy and Fuels
巻: 36 ページ: 12341-12349
10.1021/acs.energyfuels.2c01749