研究課題/領域番号 |
20H02085
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10435810)
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研究分担者 |
岡 智絵美 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多孔体 / 熱輸送デバイス / 磁性ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
多孔体界面における蒸発素過程は,キャピラリー力,固気液三相界面積,多孔体と固体壁の濡れ性に支配されるため,界面熱物質輸送の促進には支配物性の制御と精密計測が不可欠となる。本研究は化学修飾を多孔体に施すことで濡れ性が大きく制御できることに着目し,溶液プロセスによる多孔体の内部まで親水化する手法を構築するとともに,これまで確立されていないナノスケールでの濡れ性・熱伝達性能を評価できる手法を新たに構築する。次に構築した手法を用いて化学修飾キャピラリーの濡れ特性制御メカニズムを実験的に明らかにすることで,化学的濡れ性が蒸発熱伝達に与える影響を明らかにする。さらに,多孔体への浸透圧効果を直接観察し,熱輸送機構への効果を実験的に検証することで,多孔体界面での蒸発熱伝達の理論限界を超える新たな熱輸送メカニズムの創出を目指す。 2年度は昨年度得られた高性能な多孔体特性および相界面幾何学形状に基づいて多孔体を製作し,熱輸送デバイスに組み込むことでシステムとしての性能を明らかにした。熱輸送デバイスとしては薄型,小型,大型と異なるシステムに基づく最適条件を設定し,指針に基づくデバイス設計,製作を行った。また,新たな多孔体粒子配向制御方法として磁性ナノ粒子を鋳型とした一方向性多孔体製造方法を提案し,異なる樹脂および製造条件で複数の多孔体試作を行った。その結果,磁場の印加条件,磁性ナノ粒子鎖除去条件により多孔体特性が大きく異なることが明らかとなった。また,熱輸送デバイスとして好ましい特性が得られる多孔体製造条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学修飾による多孔体特性改善に加え,熱輸送デバイスとしての性能を明らかにすることができた。また,新たに磁性ナノ粒子を用いた一方向性多孔体製造方法を提案し,多孔体の試作評価,製作条件の確立が行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた知見に基づいてさらに高精度化が期待できる多孔体の製作およびデバイスとしての性能実証を行う。また,磁性ナノ粒子を用いた多孔体についても熱流体デバイスに組み込んだ状態での性能を明らかにする予定である。
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