多孔体界面における蒸発素過程は,キャピラリー力,固気液三相界面積,多孔体と固体壁の濡れ性に支配されるため,界面熱物質輸送の促進には支配物性の制御と精密計測が不可欠となる。本研究は化学修飾を多孔体に施すことで濡れ性が大きく制御できることに着目し,溶液プロセスによる多孔体の内部まで親水化する手法を構築するとともに,これまで確立されていないナノスケールでの濡れ性・熱伝達性能を評価できる手法を新たに構築する。次に構築した手法を用いて化学修飾キャピラリーの濡れ特性制御メカニズムを実験的に明らかにすることで,化学的濡れ性が蒸発熱伝達に与える影響を明らかにする。さらに,多孔体への浸透圧効果を直接観察し,熱輸送機構への効果を実験的に検証することで,多孔体界面での蒸発熱伝達の理論限界を超える新たな熱輸送メカニズムの創出を目指す。 高性能な多孔体特性および相界面幾何学形状に基づいて多孔体を製作し,熱輸送デバイスに組み込むことでシステムとしての性能を明らかにした。熱輸送デバイスとしては薄型,小型,大型と異なるシステムに基づく最適条件を設定し,指針に基づくデバイス設計,製作を行った。また,新たな多孔体粒子配向制御方法として磁性ナノ粒子を鋳型とした一方向性多孔体製造方法を提案し,異なる樹脂および製造条件で複数の多孔体試作を行った。その結果,磁場の印加条件,磁性ナノ粒子鎖除去条件により多孔体特性が大きく異なることが明らかとなった。また,熱輸送デバイスとして好ましい特性が得られる多孔体製造条件を見出した。
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