研究課題/領域番号 |
20H02092
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
圓山 重直 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80173962)
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研究分担者 |
野中 崇 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00390386)
井関 祐也 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00780222)
細川 靖 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50270195)
藤村 卓 東北大学, 大学病院, 講師 (50396496)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
岡部 孝裕 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70772713)
古川 琢磨 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (80818518)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 熱パルスレーダー / サーミスタ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,これまで研究してきたガードヒータ型高精度表面温度計測をさらに発展させ,半導体薄膜サーミスタを用いた皮膚癌や内視鏡手術用カテーテル熱パルスレーダーを開発し,癌の生体内診断を行う新たな診断法を確立することである.さらに動物実験や,模擬生体で皮膚や臓器内部の熱的性質を計測し,手術や診断の精度を格段に向上させる.つまり,(1)薄膜サーミスタと小型ペルチェモジュールを組み合わせた高精度能動温度プローブのプロトタイプを製作し,ダブル熱パルスレーダーの基本動作を模擬生体で実験する.(2)皮膚ガンや臓器ガンが,リンパ血流などの物質移動が大きいことを考慮した新しい生体伝熱モデルの構築を行い,熱パルスレーダーの臨床結果を記述する新理論を展開する.(3)さらに小型のサーミスタ・プローブと小型ペルチェ冷却機構を製作し,内視鏡に組み込んで消化器や腹腔内手術の新しい診断方法としてのカテーテル型熱パルスレーダーを開発し,模擬生体と動物実験でその有用性を実証する. 前年度までに(1)の高精度能動温度プローブのプロトタイプの製作が完了したため,2年目にあたる令和3年度には開発した高精度能動温度プローブを用いた実験的検討および数値的検討を行った.具体的には皮膚構造を模擬したファントムによる実験的検討および数値シミュレーションによる検討から,皮膚癌の早期診断の可能性を明らかにした.また,小型ペルチェ冷却機構を具備する新型プローブの開発を行い,基本的性能評価実験を開始した.さらに,本研究の要となる,複数のサーミスタをmKオーダーで温度検定可能な固体型温度校正装置の開発および熱的評価実験を実施し本装置の有用性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度実施予定であったペンシル型ホルダーへの組み込み,皮膚癌をモデル化したファントムでの熱応答試験等が完了した.温度計測プローブ高精度化のために,独自に計測プローブの校正装置を作成した.校正装置には上部にペルチェモジュールを設置して,校正装置内部の温度が均一になるように作成した.校正装置の校正試験の結果,校正装置内部の温度差は数mK以下になることが示唆された.さらに校正装置の数値解析を行い,プローブ挿入穴に空気層が存在しても校正装置内部の数mK以下で温度が一定となることを評価した.また,小型ペルチェ冷却機構を具備する新型プローブの開発を行い基礎的な検討を開始したことから,計画通りに進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる令和4年度には,固体型温度校正装置を用いて各熱パルスレーダーのmKオーダーでの温度校正を実施し,計測精度について詳細な調査を行う.さらに動物実験を実施し,ペンシル型熱パルスレーダーの有効性を実証する.温度校正装置の高精度制御のために,ペルチェモジュールのPIDパラメータの制御の最適化を実施する.次に小型ペルチェ冷却機構を具備する新型プローブの熱的評価実験を実施し本プロープの基本的性能について把握する.さらにこれをカテーテル手術や腹腔鏡手術用に応用し,ヤギを用いた動物実験を通してダブル熱パルスレーダーの有効性を実証する.
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