研究課題
本年度は,2つの指輪型センサをそれぞれ中節骨上、基節骨上に装着し、それらの出力を組み合わせて、指先力を推定する手法を構築することに取り組んだ。まず、2つのセンサそれぞれについてセンサの装着指針を確立するため、センサの指先力に対する感度を評価する実験を行った。実験では、中節骨と基節骨それぞれに対して、複数のセンサ位置条件、指姿勢条件を設定し、指先力とセンサ出力の関係を計測した。その結果、姿勢によって若干異なるが、中節骨上、基節骨上のセンサはどちらも第2関節に近い位置への装着時に指先力の変化に対するセンサ出力の変化が大きく、最も感度が高いことが分かった。第2関節付近で2つの屈筋腱の変位が制限されるため、センサ突起への反力が大きくなるためであると考えられる。この成果を通して、どちらのセンサについても第2関節に近い位置に装着することが適切であることが明らかになり、装着指針を確立することができた。また、この2つのセンサを用いた計測システムに対して、指先力を推定するために、機械学習の1つであるRNNを用いた手法を適用した。前年度までに確立した力学モデルに基づく指先力の推定には、センサ出力以外に動作解析システムで得られた関節角度が必要であった。そこで、動作解析システムからの関節角度情報を用いた学習と用いない学習の2条件を設定し、大まかに脱力姿勢、伸展姿勢、屈曲姿勢に分類した上で学習する場合と分類せずに学習する場合について比較した結果、関節角度情報を用いずに姿勢を分類して学習する場合に最も推定精度が良いことが確認され、力学モデルに基づく推定よりも誤差が小さい結果が得られ、機械学習を用いることで、動作解析システムを用いずに2つのセンサのみで指先力を推定するシステムが可能であることを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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2022 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC)
巻: - ページ: 1718-1723
10.1109/SMC53654.2022.9945291