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2021 年度 実績報告書

高バックドライバビリティを備えた変形制御に基づくレオロジーロボティクス

研究課題

研究課題/領域番号 20H02110
研究機関広島大学

研究代表者

妹尾 拓  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10512113)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード知能ロボティクス / 機械力学 / 感覚行動システム / 力制御 / ロボットマニピュレーション
研究実績の概要

本年度の研究成果をサブテーマごとに以下に示す.
(A) 変形モデルに基づく力制御手法の確立:力センサは一般的にノイズが多く,かつ指モジュールに対してサイズが無視できるほど小さくはないため取り付けが困難な場合が多い.また,接触点推定も同時に行う必要があるため力推定の精度が不十分となることが多い.これらの問題を回避するため,イナーシャシェイピングを利用することにより,力センサレスで実行可能な変形制御則を導出した.外力に対する応答特性をシミュレーションで検証し,塑性挙動の生成を確認した.
(B) 低摩擦特性を有する高バックドライブロボットの開発:磁石歯車を利用したグリッパに関して,軸のねじれや脱調の解析およびラックピニオンの幾何パラメータの調整をおこなうことで制御性や応答特性を向上し,バックドライバビリティの高い柔軟な動作が可能となった.また,リアルタイムコントローラの導入および制御盤の設計・作成をおこない,通信系と電装系を統合した全体システムを構築した.
(C) 低衝撃高速マニピュレーションの実現:机上に置かれた物体に対して,グリッパを減速せずに上方から振り下ろす形で高速に把持する突き指グラスピングを実現した.把持物体として,厚みのある木片と薄いコイン状のプラスチックに対して実験をおこない,衝撃力を関節で吸収しながら両指を受動的に閉じる動作を積極的に利用することで,衝撃緩衝と高速把持の両立が可能となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は,統合システムの開発および制御手法の実装を中心におこなった.並行して,力センサレス手法の理論提案と衝突把持タスクによる実機検証をおこなった.サブテーマごとの状況も当初の計画以上に進展しており,順調に研究が進んでいる.

今後の研究の推進方策

次年度は,受動的に力緩衝が可能な塑性変形制御を接触力が指定可能な制御理論へ拡張をおこなう.システム開発として,ロボットハンド機構に加えてロボットアームを導入してシステム拡張をおこなう.同時に,制御理論とシステム開発の検証タスクとして,実機実験を割り当てて有効性を実証する.サブテーマごとに以下の課題を設定する.
(A)受動/能動統合制御:変形モデルにおいて変形の平衡点となる初期位置・初期速度を強制的に変更することで,明示的に接触力を調整できるように変形制御を拡張し,受動的な力制御と能動的な力制御を統一的に記述可能な理論的枠組みを整備する.
(B)実験プラットフォーム:開発するロボットハンドに加えてロボットアームを導入し,全体システムを拡張する.また,デバッグ/評価用として高速度カメラを導入し,特に衝撃吸収の瞬間に関してスローモーション映像によりインタラクション挙動を目視かつ画像解析で検証することで効率的に実験を進める.
(C)非停止ピック&プレース:ランダムに置かれたワークに対して,水平/垂直方向の把持戦略を統合し,ワーク接触前のプリシェーピングやプレース時のリリース動作において明示的な目標値追従を実現することで,受動/能動統合制御を実証する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 輪郭情報に基づくテンプレートマッチングを用いた重畳車両の高速トラッキング2022

    • 著者名/発表者名
      川原大宙, 妹尾拓, 石井抱, 平野正浩, 岸則政, 石川正俊
    • 雑誌名

      計測自動制御学会論文集

      巻: vol. 58, no. 1 ページ: 21-30

    • DOI

      10.9746/sicetr.58.21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] High-speed tracking for overlapped vehicles using instance segmentation and contour deformation2022

    • 著者名/発表者名
      Hiromichi Kawahara, Taku Senoo, Idaku Ishii, Masahiro Hirano, Norimasa Kishi and Masatoshi Ishikawa
    • 学会等名
      2022 IEEE/SICE International Symposium on System Integration
    • 国際学会
  • [学会発表] Baseball Robots Based on Sensory-Motor Integration2021

    • 著者名/発表者名
      Taku Senoo and Idaku Ishii
    • 学会等名
      2021 International Conference on Control, Automation and Systems
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Dynamic Robot Manipulation using High-speed Cognitive Behavior System2021

    • 著者名/発表者名
      Taku Senoo
    • 学会等名
      Robotics and Computer Science World Forum 2021
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 高速回転機構に基づく分身ロボットの提案と二次元シミュレーション評価2021

    • 著者名/発表者名
      池ヶ谷健太, 妹尾拓, 石井抱
    • 学会等名
      第39回日本ロボット学会学術講演会
  • [学会発表] ロボットハンドを使用した加振によるねじ緩み判別2021

    • 著者名/発表者名
      立石侑也, 島崎航平, 妹尾拓, 石井抱
    • 学会等名
      第39回日本ロボット学会学術講演会
  • [学会発表] 高速ロボットハンドを用いた動的環境における複雑形状物体把持2021

    • 著者名/発表者名
      川原大宙, 妹尾拓, 石井抱
    • 学会等名
      日本機械学会 2021年度年次大会
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      https://www.robotics.hiroshima-u.ac.jp/members-jp/taku-senoo/

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公開日: 2022-12-28  

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