研究課題
本研究課題の目的は、人工知能技術・ロボット技術・超音波技術を用いてロボティック超音波診断・治療基盤システムの構築法を確立することであり、下記の5つのコア基盤技術に関する研究を遂行し、下記に示すようにきわめて順調に優れた成果を積み重ねてきている。(コア技術I) 機能に応じた機構設計技術、 (コア技術II) 医療診断・治療技能における機能の抽出・構造化技術、 (コア技術III) 患者に対するロボットの安全・安心動作技術、(コア技術IV) 診断・治療タスクに応じたシステム動作技術、(コア技術V) リアルタイム医用画像処理技術。とりわけ (コア技術V) リアルタイム医用画像処理技術については超音波画像中に表示される臓器が呼吸や拍動に伴って変位・変形・回転する場合や音響陰影によって画像が一部欠損した場合にも、特定臓器の輪郭や患部を画像合成および抽出・追従・モニタリングできる、深層学習を援用した画像処理技術を新規に開発するなど、成果を順調に積み重ねてきている(第22回日本超音波医学会奨励賞受賞)。また、(コア技術I)に関してロボティック超音波医療診断・治療支援システム(アラベスク)の有効性を評価するために診断対象であるファントムの体位・姿勢を制御する、患者体位・姿勢制御ロボット(ピルエット)を新規開発した。これにより、ロボティック超音波診断システムが指定された位置・姿勢・接触力で超音波プローブをアプローチして、任意の臓器内の患部に対して超音波診断画像を獲得することが可能になった。ほかにもAI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載、トップカンファレンスでの発表(CARS2021)、日経新聞等への掲載など,医療診断・治療のための生体患部抽出・追従・モニタリング技術のパイオニアかつ中核的な存在として国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究プロジェクトは当初の計画を超過達成しながら進展している。とりわけ、以下の点については顕著な進展があった。(1点目) リアルタイム医用画像処理技術について、超音波画像中に表示される臓器が呼吸や拍動に伴って変位・変形・回転する場合や音響陰影によって画像が一部欠損した場合にも、特定臓器の輪郭や患部を画像合成および抽出・追従・モニタリングできる、深層学習を援用した画像処理技術を新規に開発するなど、顕著な成果があった(AI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載、第22回日本超音波医学会奨励賞受賞)。(2点目)患部領域の模様・パターンなどのテクスチャ情報をもとに肝線維化の進行度合いを、その順序構造をも考慮して自動で評価・推定するシステムの開発において顕著な成果があった(AI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載。(3点目)ロボティック超音波医療診断・治療支援システム(アラベスク)の有効性を評価するために診断対象であるファントムの体位・姿勢を制御する、患者体位・姿勢制御ロボット(ピルエット)を新規開発した。これにより、ロボティック超音波診断システムが指定された位置・姿勢・接触力で超音波プローブをアプローチして、任意の臓器内の患部に対して超音波診断画像を獲得することが可能になった。超音波画像は、単に体軸方向に一定間隔でスキャンすればよいX線CTやMRIと比較して、その自由度の高さゆえ診断に適切な画像を獲得するためには、位置・姿勢・押しつけ力を適正に調整する必要があるなど、熟練した技術や経験を要する。本プロジェクトに関する研究成果は日経新聞等への掲載をはじめ、医療診断・治療のための生体患部抽出・追従・モニタリング技術のパイオニアかつ中核的な存在として国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
本研究課題の目的は胸腹部の医療診断・治療を対象として、人工知能技術・ロボット技術・超音波技術を基盤にロボティック超音波診断・治療基盤システムの構築法を確立することであり、安全・安心に動作するシステムを実現するとともに、システムの有効性および安全性を実証する。この研究目的を達成するために以下の5つの作業手順を順次遂行することで医療技能を機能として抽出、構造化し、デジタル機能関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装(医療技能のデジタル化)する:(1)医療診断・治療技能を機能として抽出・構造化、(2)機能におけるパラメータ解析、(3)機能の設計指針化、(4)機能の実装、(5)実験による機能の評価・改良。本研究プロジェクトではこれまで、(1)、(2)のステップを中心に研究に取り組んできた。今後、(3)-(5)のステップを含めた研究を遂行する:(3)機能の設計指針化:上記の作業により構造化され、パラメータ解析された要求機能をもとに機能の設計指針を導出する。(4)機能の実装:上記設計指針に基づいてロボティック超音波診断・治療基盤システムを構築し、上記で構造化された要求機能をシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に関数として実装することで機能の具現化を図る。(5)機能の評価・改良:機能の信頼性を確保するため、基礎実験・検証を通して機能の評価を行なう。評価結果は設計指針にフィードバックされ、これをもとにシステムの改良を行ない、システムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上で機能の高度化を図る。その際、必要ならば専門医の医療技能に啓発された全く新しいアプローチから機能を追加・実装することにより、さらなる医療の質の向上(高速・高精度化)を図る。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery
巻: 17 ページ: 107~119
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International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery (IJCARS)
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Abdominal Radiology
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http://www.medigit.mi.uec.ac.jp/
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