研究課題/領域番号 |
20H02113
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小泉 憲裕 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10396765)
|
研究分担者 |
小木曽 公尚 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30379549)
月原 弘之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (50431862)
西山 悠 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60586395)
宮嵜 英世 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 診療科長 (80323666)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 医デジ化 / Me-DigIT / ロボティック超音波診断・治療 / Robotic Ultrasound / 体動補償 / 医療・バイオ用ロボットビジョン技術 / 診断画像の自動最適化 / 診断画像適正度評価 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、人工知能技術・ロボット技術・超音波技術を用いてロボティック超音波診断・治療基盤システムの構築法を確立することであり、下記の5つのコア基盤技術に関する研究を遂行し、下記に示すようにきわめて順調に優れた成果を積み重ねてきている。(コア技術I) 機能に応じた機構設計技術、 (コア技術II) 医療診断・治療技能における機能の抽出・構造化技術、 (コア技術III) 患者に対するロボットの安全・安心動作技術、(コア技術IV) 診断・治療タスクに応じたシステム動作技術、(コア技術V) リアルタイム医用画像処理技術。 とりわけ (コア技術II,III,IV,V)に関連して リアルタイム医用画像処理技術については単に臓器内に埋め込まれた患部を抽出・追従・モニタリングするのみならず、追従中に獲得した医用画像の適正度を評価するアルゴリズムの開発、対象臓器と音響陰影の重複を深層学習およびロボット技術の援用により、自動的に回避するロボット制御アルゴリズム、ロボットによる診断画像の自動獲得アルゴリズムの開発において顕著な成果があった。また、(コア技術I)に関して臓器追跡ロボット(OTR)、ロボティックベッド(RB)、ロボティック支持アーム(RSA)、患者ファントム体位制御ロボット(RPCS)の4つのロボットからなる統合システムを構築、汎用の超音波診断を患者ファントムの体位を含めてロボティックに模擬可能なシステムを構築した。 上記の成果に関連してAI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載、トップカンファレンスでの発表(CARS)、日経クロステック等への掲載など,医療診断・治療のための生体患部抽出・追従・モニタリング技術のパイオニアかつ中核的な存在として国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究プロジェクトは当初の計画を超過達成しながら進展している。とりわけ、以下の点については顕著な進展があった。 (1点目) 単に臓器内に埋め込まれた患部を抽出・追従・モニタリングするのみならず、追従中に獲得した医用画像の適正度を評価するアルゴリズムを開発するなど、顕著な成果があった(AI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載、日経クロステック掲載)。 (2点目)対象臓器と音響陰影の重複を深層学習およびロボット技術の援用により、自動的に回避するロボット制御アルゴリズム、ロボットによる診断画像の自動獲得アルゴリズムの開発において顕著な成果があった(AI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への論文掲載。 (3点目)(コア技術I)に関して臓器追跡ロボット(OTR)、ロボティックベッド(RB)、ロボティック支持アーム(RSA)、患者ファントム体位制御ロボット(RPCS)の4つのロボットからなる統合システムを構築、汎用の超音波診断を患者ファントムの体位を含めてロボティックに模擬可能なシステムを構築した(医療機器の製造・設計に関するアジア最大の展示会 MEDTEC Japanへの出展)。 本プロジェクトに関する研究成果はAI・ロボティック支援医療診断・治療システム分野の一流国際誌(IJCARS)への掲載、国際会議での発表(CARS)をはじめ、医療診断・治療のための生体患部抽出・追従・モニタリング技術のパイオニアかつ中核的な存在として国内外からきわめて高い注目を集めてきている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は胸腹部の医療診断・治療を対象として、人工知能技術・ロボット技術・超音波技術を基盤にロボティック超音波診断・治療基盤システムの構築法を確立することであり、安全・安心に動作するシステムを実現するとともに、システムの有効性および安全性を実証する。 この研究目的を達成するために以下の5つの作業手順を順次遂行することで医療技能を機能として抽出、構造化し、デジタル機能関数としてシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に実装(医療技能のデジタル化)する:(1)医療診断・治療技能を機能として抽出・構造化、(2)機能におけるパラメータ解析、(3)機能の設計指針化、(4)機能の実装、(5)実験による機能の評価・改良。 本研究プロジェクトでは今後、(3)-(5)のステップを中心に研究を遂行する: (3)機能の設計指針化:上記の作業により構造化され、パラメータ解析された要求機能をもとに機能の設計指針を導出する。(4)機能の実装:上記設計指針に基づいてロボティック超音波診断・治療基盤システムを構築し、上記で構造化された要求機能をシステムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上に関数として実装することで機能の具現化を図る。(5)機能の評価・改良:機能の信頼性を確保するため、基礎実験・検証を通して機能の評価を行なう。評価結果は設計指針にフィードバックされ、これをもとにシステムの改良を行ない、システムの機構・制御・画像処理アルゴリズム上で機能の高度化を図る。その際、必要ならば専門医の医療技能に啓発された全く新しいアプローチから機能を追加・実装することにより、さらなる医療の質の向上(高速・高精度化)を図る。
|