研究課題/領域番号 |
20H02114
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 陽滋 名古屋大学, 工学研究科, 名誉教授 (90166744)
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研究分担者 |
秋山 靖博 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00610536)
磯貝 善蔵 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 副院長 (20285208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 単位面積当たりの供給エネルギー / ヒト指ダミー / FS接触運動空間 / CRANE-X7 |
研究実績の概要 |
われわれは,ロボット側の暴走という新たなリスクに着目している.例えば、1つの故障でロボットが暴走した場合、ロボットと作業者が衝突する可能性がある。そのため、ロボットの暴走を検証する必要がある。私たちは、2年目は、暴走するジョイントだけでなく、他のアクティブなジョイントにも着目してそれらを制御し、衝突の衝撃を小さくさせるためのフェイルセーフな接触運動制御を提案し、CRANE-X7のモデルを用いてその有用性をシミュレートした。 マニピュレータの運動エネルギーあるいは運動量の変化を規範として考慮した最小の暴走楕円空間である「FS接触運動空間」を与え、衝突時にヒト指側に供給される単位面積あたりのエネルギーについて、既報(ISO/DIS21260)の皮内出血を与えるに留まる範囲の接触に収まるように、制御系の中で飽和関数の上限として機能させることで達成した。また、故障をきたした単一ジョイントを除く、他のジョイントすべての運動でツール先端にもたらされる合成変位によって接触部の暴走変位を減ずる方向に進めるかどうかの判断をもたらす、合成運動による変位を「FS接触運動空間」内にとどめる軌跡生成ブロックおよび運動量制御ブロックに対応する制御系の設計を行った。 他方、被衝突対象物として、皮膚、皮下組織、骨の層で構成される衝突安全用のダミー指を作製した。このダミー指は、その側面にロボットのエンドエフェクタが衝突した際に、どの程度の傷害をもたらすかを観察できるように、ヒト指にエンドエフェクタが衝突した場合と同等の摩擦力および変形特性を示すように構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目は、「FS接触運動空間」を求め、人間と接触したときに衝突の衝撃を小さくさせるためのフェイルセーフな接触運動制御を提案できた。また、CRANE-X7のモデルを用いて、作用空間におけるマニピュレータ各ジョイントの運動による合成運動で構成される先端の変位を「FS接触運動空間」内にとどめる軌跡生成ブロックおよび運動量制御ブロックに対応する制御系の設計を行って、その有用性をシミュレートできた。さらに、皮膚、皮下組織、骨の層で構成される衝突安全用のダミー指を作製できたから。
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今後の研究の推進方策 |
人間・ロボットの物理的な接触の中で最悪な状況であるクランプシナリオにおいて、人間の身体部分の安全性を確保するための制御戦略を提案する。制御器は、制御ループ、運動量観測器、及び軌跡修正の3つの機能から構成されることになる。CRANE-X7を用いて、ボルトを締める作業を模擬したクランプ実験を実施する。そして、提案する制御戦略が、人体部位をクランプする際に外部運動量が傷害指標のしきい値を超えないように制御されることをクランプシナリオにおいて検証する。
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備考 |
本研究成果の一部が、ISO/TR21260の付録に掲載された。
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