研究課題/領域番号 |
20H02115
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
永井 萌土 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 教授 (00580557)
|
研究分担者 |
沼野 利佳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30462716)
石田 忠 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80517607)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | オプトポレーション / 超並列核内デリバリ / 細胞スクリーニング / 多点光照射 / パルスレーザー / 光吸収体 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
機能を喪失した組織への再生医療,難病への細胞治療といった先進医療の普及が渇望されている。この普及を妨げる原因は,従来の細胞の機能 改変・選別技術における低質(機能が不均一で不安定)細胞の混入である。 本研究では,(A)超並列核内デリバリと(B)スクリーニング技術を中 核として,10の6乗個レベルで高品質(機能が均一かつ安定)の細胞を獲得 するシステムの開発と学術体系の確立を最終目標とする。本研究を 通じ,細胞改変・選別後の低質細胞の混入を防ぎ,効率的な再生医療・細胞 医療用品質の細胞獲得を可能とする。 これまでに(A)超並列核内デリバリのためのオプトポレーション,(B)スクリーニング技術のための多点光照射をスケールアップする方法を確立した。特に位置選択的なオプトポレーションの開発に向けて,微小光吸収体SU-8/PR-254とバイオレジスト凹構造の作製と評価を行った。SU-8/PR-254光吸収体の微小化に成功し,66%の効率で細胞内への分子導入を達成した。またバイオレジストに穴をあけ,ガラス面に細胞を接着させて,直径40μmで単一細胞の捕獲率27 %を実現した。 多点光照射では,Power Automate Desktop(PAD)により,自動でのDMDへのデータ転送が可能になった。これによりデータ転送時間を短縮し,光硬化プロセスにおけるアライメントエラーを最小化した。画像処理を利用し,細胞径に応じた選別が可能になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施の遅れが見られ,事業期間の延長を行った。事業2年度目以降は,細胞内デリバリと細胞スクリーニングの両方において遅れを取り戻し,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに(A)超並列核内デリバリのためのオプトポレーション,(B)スクリーニング技術のための多点光照射をスケールアップする方法を確立 した。ただし10の6乗個に到達しておらず,細胞は室温での長時間の処理となるために,時間経過とともに細胞生存率が低下する問題があった 。前年度に引き続き,XYZステージを用い,60 mm × 60 mmの範囲をスキャンし,10の6乗個へと処理数を拡大する。さらに生存率の向上の ために短時間化を目指す。これにより,時系列情報に基づいた10の6乗個の細胞選別を行う前段階の技術を確立する。 またこれら2つの中核技術(A),(B)を統合し,10の6乗個の細胞へ遺伝子導入からスクリーニングを一貫して行うシステム創成を目指す。これに より高品質(均一・安定な機能を有する)細胞を構築する基盤技術を確立し,目的の高品質な細胞が得られることを実証する。
|