本研究は、細胞・分子機械加工を達成するため、2つの構成要素からなるプラットフォームを実現する。一つはA)光操作型ナノ工具であり、もう一つは加工する場である加工テーブルに相当するB)マイクロ流体ワークテーブルである。半導体微細加工技術によってナノメートルサイズの微小構造体を作製し、表面に様々な酵素・抗体を固定することで「ナノ工具」を実現する。このナノ工具は光操作するためのハンドル部と、加工するための反応部から成る。集光レーザーによりハンドル部をトラップ(光ピンセット)することで、溶液中で位置や姿勢を自在に操作できる。反応部に接触した生体分子はその位置でピンポイントに酵素が触媒する化学反応により加工される。もしくは、抗体により構造体に固定化される。 マイクロ流体ワークテーブルは、顕微鏡ステージに設置され、加工に必要な工具と細胞を収容し、細胞を所定の位置に搬送・配置する機能を持つ。2つの構成要素の本年度の具体的な研究開発実績を以下に示す。 A) 光操作型ナノ工具:ナノ工具の高度化に向けて金電極パターンの形成手法を考案しプロセス開発を行った。 B) マイクロ流体ワークテーブル:本デバイスはマイクロ流路の中に、ナノ工具を収容する工具ストックチャンバー、細胞配置アレイ構造と加工エリア、溶液導入ポートを有している。本年度は、前年度に開発したキャピラリーを利用した簡易な回収機構を用いて細胞組立を実証し、数日間の長時間観察を実現した。
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