研究課題/領域番号 |
20H02127
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
芳賀 仁 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10469570)
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研究分担者 |
伊東 淳一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90377218)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パワーエレクトロニクス / モータドライブ |
研究実績の概要 |
本研究ではパワーエレクトロニクスを用いたモータドライブ技術において、電源環境と負荷環境(インバータとモータ)を巨視的に捉えることで,実省エネ性と高信頼を両立するシステムを実現するための回路構成とモータ構造、そして制御方式を研究している。 2020年度は、要素技術開発として,単相および3相交流200V電源を想定したデュアルインバータ(ダイバーシティインバータ)駆動IPMSMのシミュレーション環境構築、実験装置の設計開発、電源歪みに着目した回路解析、モータドライブへの影響を研究した。理論およびシミュレーションにより電源歪によるモータのトルク脈動の影響を示した。その解析結果にもとづき2020年度は電源歪によるトルクリプルを抑制するためのデュアルインバータの制御法を提案した。外乱オブザーバに基づく変動抑制法を開発した。提案制御法の有効性はシミュレーションおよび実験により明らかにした。 コントローラはDSP制御基板で構築、プログラマブル電源を用いた任意の歪み電源エミュレータの実装、モータ試験装置をそれぞれ開発した。 提案制御法を用いた高調波補償による速度リプル低減効果を確認するためにシミュレーションを行った。系統電圧に7次高調波25%重畳した条件で検証を行った。速度指令値を1500rpm,負荷トルクを3Nmとして検証を行った。直流リンク電圧脈動が増加することで従来システムではq軸出力電流リプル率は13.4%,速度リプル率は2.0%となりq軸電流の脈動よって速度も脈動する。提案システムによる高調波補償を行うことでq軸出力電流リプル率は1.7%となり従来システムと比較して約87%低減できた。速度リプル率は0.1%であり提案システムを用いることで速度リプル率は約95%低減できることを確認した。以上より電源歪に対応するインバータ制御法の基本技術を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定は環境構築と電源歪によるシステム解析、抑制法の研究であった。その予定に対して環境構築がすみ、そして電源歪による解析が完了して抑制法の具体的な制御アルゴリズムを提案することができた。さらに、提案制御法の妥当性と有効性もシミュレーションではあるが従来システムと比較することで明らかにしている。これらの成果は国内学会で3回発表して学外の研究者とも積極的に議論が進んでいる。 以上の理由から当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に研究した電源歪によるモータ側のトルクリプルを抑制するための制御アルゴリズムの妥当性と有効性の評価を、2021年度は実験をベースに進める。さらに、研究内容を負荷側のトルク変動(周期的なトルク変動)に展開して制御アルゴリズムの高度化を図る。 同時に単相電源系統をもつデュアルインバータ駆動オープン巻線IPMSMにも展開する。
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